
使用後のコーヒーパックの分析
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エスプレッソを提供する際、そのショットがどれくらいのクオリティなのかをチェックすることは難しいですよね。
バッチブリューやポアオーバーをお客様に出す前のテイスティングはバリスタの仕事の一つですが、エスプレッソでは通常それができません。
「ショットの落ち方」などの見た目での判断に頼ることがほとんどでしょう。しかしチャネリング(小さな穴や溝)など、バスケット内部で起こっている現象はそれでは確認ができません。

この課題を解決するため、チャネリングによる穴があるか、表面が崩れていないか等、エスプレッソ抽出後のパックの分析を行いました!
検証
今回はBHのコーチを務めるNikolai Fürst さんにとある実験をお願いしました。 不均一なディストリビューションとタンピングで粉を詰め、コーヒーパックに何が起こるかを調べます。
検証環境
グラインダー Mahlkoenig K30
エスプレッソマシン Victoria Arduino Black Eagle
レシピ 豆18g エスプレッソ60g
どの要素が抽出に悪影響を与えるのかを知るため、ドーシングは粉を片側に寄せ、タンピングもわざと不均一になるように詰めて抽出します。

抽出後、4秒間待ってからポルタフィルターを取り外し表面の質を確かめます。 その後、水分が完全に下へ浸透するのを待ちパックを取り出します。 いくつかの異なる挽き目で3回ほどショットを作りましたが、結果はどれも同じ。チャネリングは発生していませんでした。この事から分かるのは、ディストリビューションやタンピングがチャネリングの直接的な原因ではなく、表面の小さな穴は、抽出が止まり気圧が下がる時に引き起こされるものだという事です。

上記の写真↑は、極端に不均一なディストリビューションでタンピングしたパックですが、チャネリングは起きていません。

BlackEagleのようなSemiAutomaticのマシンでは Three-way 電磁弁というシステムでグループ毎に抽出のコントロールが行えます。
エスプレッソは圧のかかったお湯がコーヒーのベッドを通過します。
ショットが停止すると、ソレノイドが閉じ、ポンプからの水の入りを停止し、別のパイプを介して圧力を解放します。
これが発生すると、圧力勾配、つまりパックを通る流れが逆流し、コーヒーパック内の高い圧がパックを通じて水を上向きに押し戻します。
この流れの逆転が、使用済みのコーヒーパックに時々見られる穴の原因となっている可能性があります。

こちらはThree-way 電磁弁の図解です。バルブが解放される際、高圧のお湯がポンプからグループヘッドを通過してコーヒーベッドに辿り着きます。

↑弁が閉じると、パック内の残圧が水を反対方向に押し出し、グループから排気口へ送り込みます。これが起きると、パックを通る水の流れが突然逆になります。
より多くの穴を確認したのは、粗めの挽き目(抽出時間20秒ほど)で実施した時でした。これらもチャネリングによる現象なのかは定かではありません。上部に水が溜まっているような状態は、適切でない挽き目である可能性なども考えられます。下記イメージは粗挽きの検証結果です。

BaristaHustle創立者のMatt Pergerは水分でぐちゃっとなるパックとドライな状態になるときの違いが生じる原因は、シャワーヘッドとの距離だとも説明しています。
黒い斑点の意味すること
ポルタフィルタ内のコーヒーにできる穴は、ディストリビューションや、
タンピングとの相関性はないという事が今回明らかになりました。
しかし、コーヒーパックを取り出してひっくり返すと違う発見がありました。パックの厚く、密度の高い部分が黒みがかっていました。
特に低い比率、細かめの挽き目で抽出した際に、コーヒーパックの底に黒い斑点のような模様がついています。おそらく、抽出しきれなかった固形物が一部分に溜まったものと考えられます。

細かめの挽き目の際、黒い斑点部分はバスケット底部の同じ部分に残るオイルとも関係しており、コーヒーパックの黒い部分にはオイルやコロイドが含まれていると考えられます。
均一なディストリビューションとタンピングがなされた抽出ではこれらの現象は起きませんでした。
我々の実験ではコーヒーパックの表面に見える穴は、抽出時に何が起きているのかを示すサインにはならず、
パック底部のカラーの違いはお湯の流れが詰まっていることを示唆するものだという結論に至りました。

結論、今回の検証結果がエスプレッソの質を見極めるサインに必ずしもなるかは断定できません。
しかし、コーヒーパックの底部が黒みがかる現象は不安定な湯の流れ、それが原因となり未抽出になるフレーバーもあるということが言えるでしょう。