エスプレッソマシンコース「 エスプレッソマシンとは?」

エスプレッソマシンと定義されるためにはいくつか特徴があり、一つ目の特徴は「注文を受けてから作る」ことで、一杯分のコーヒーを抽出できることです。これに対して、一般的なコーヒーメーカーはまとめてコーヒーを抽出します。シングルサーブのテクノロジーが登場したのは、20世紀初頭でした。ですが、現代のエスプレッソマシンの前身となる19世紀のコーヒーメーカーの中には、非常に独創的で奇抜、時には危険なものもありました。

「エスプレッソ」という言葉は、皆さんが思っているよりもずっと早く使われていました。1860年代に使われていた「カフェ・エクスプレッソ」という言葉は、現在私たちが呼ぶエスプレッソとは全く異なるコーヒーを指していました。作家でジャーナリストのジョージ・サラ氏が1866年から1867年にかけてローマとヴェネツィアを訪れた際、彼は「カフェ・エクスプレッソ」を、「カフェ・オルディナリオ」のより高価な代替品として紹介しました。サラの説明によれば、1ペニー多く支払うと、カフェ・エクスプレッソへアップグレード可能で、より大きいサイズで濃い美味しいコーヒーに、大きな砂糖の塊が4つ付いてくるというものでした(Sala, 1869)。

「エスプレッソ」という言葉の起源について議論があります。古い資料では、エスプレッソはイタリア語の「esprimere」の過去分詞形で、「押し出す」または「絞り出す」という意味で、ラテン語の「exprimere」に由来するとされています。ですが、以下に示すように、Merriam-Webster's Dictionaryはこの考え方が再考されたことを説明しています。

 「このエスプレッソという言葉には、特にイタリアのレストランで使われる際には、「注文を受けてから素早く作られる」という意味があり、ポットで作られるコーヒーとは区別するための可能性があります。また、イタリア語の「esprimere」は確かに「表現する」や「知らしめる」という意味がありますが、初期の解説者たちが主張したように「押す」という意味ではありません。このことが語源学者たちに、エスプレッソとコーヒー豆を押し出すこととの関係を再考させ、その提供方法、つまり「注文に応じて特別に作られるコーヒー」という意味に戻る結果となったのです。」

「注文を受けてから」コーヒーを作るためには、速さが求められます。より速くするための大きな一歩は、コーヒーの粉に水を通して押し出す方法として蒸気圧の導入でした。蒸気圧を使った最初のコーヒーメーカー、つまり一部では最初のエスプレッソマシンと考えられているマシンは、ドイツの医師エラール・レーメルスハウゼンによって1818年ごろに発明されました(Maltoni and Carli 2020

この装置は、現代のモカポット(直火式エスプレッソメーカー)と全く同じ原理で動作します。Römerhausenのデザインは、ボイラーと呼べるものを初めて備えたコーヒーメーカーのようです。ですが、Römerhausenのコーヒーメーカーは現存しておらず、このデザインは商業的な成功を収めることはありませんでした。この装置が十分な強度を持たせるために真鍮で作られていたと推測することはできます。これは、1838年にアレクサンドル・ルブラン氏が開発したコーヒーメーカー(後述)と似たようなものです。

Römerhausenによるコーヒーメーカー、1818年ごろのもの。

Römerhausenのデザインには有望な特徴がありましたが、この19世紀の大ヒットしたコーヒーメーカーは、一度に複数杯作るため、大量の水を加熱する必要があり、非常に遅く動作しました。さらに、水はエタノールを燃料とする小さくて効率の悪いアルコールバーナーによって加熱されていました(Maltoni and Carli 2020)。ロンドンの銅細工職人サミュエル・パーカー氏が1833年に特許を取得したパーカーの蒸気噴水のような装置では、加熱に最大で20分もかかることがありました。Römerhausenとパーカー氏のデザインからわかるように、モカポットの基本的な原理は、1950年代にイタリアの家庭で標準的な存在となった有名な八角形のビアレッティ直火式コーヒーメーカーが登場する130年以上前からすでに使われていたのです。

1833年のパーカーの蒸気噴水コーヒーメーカー


パーカー氏の発明は、今日の安全基準を満たしておらず、過剰な圧力を逃がすための安全バルブが一切備わっていませんでした。時間が経つにつれて、この装置は再設計され、ユーザーが下のチャンバーからコーヒーの流れを観察できるようにガラス製の蓋が付けられました。

1838年に、4分以内でコーヒーを淹れることができるコーヒーメーカー「ピッコラ」が市場に登場しました(Maltoni and Carli 2020)。このピッコラは、フランスの光学技術者のアレクサンドラ・ルブラン氏によって特許を取得されました。この装置は現代のエスプレッソマシンと多くの共通点を持っています。モカポットの抽出方法では、蒸気圧で熱い水を上に押し上げ、コーヒーの粉を通過させますが、ルブラン氏の装置は水を下に押し下げます。抽出されたコーヒーは、エスプレッソマシンのバスケットと同じように、コーヒー粉の下にある穴の開いたプレートを通ってろ過されます。抽出されたコーヒーは、装置の底にあるパイプを通って流れ出します。このパイプは現代のスチームワンドに非常によく似ており、その部分はコーヒーオイルの残留物が蓄積しやすく、嫌な味を引き起こす傾向がありました。


ルブラン氏によるピッコラコーヒーメーカー(1838年)。冷たい水は装置の上部に注がれ、コーヒーの粉は下部のバスケットに押し込まれ、真鍮製の蓋がブリュワーの本体にしっかりと取り付けられました。おそらく、装置の上部で蒸気圧が十分に高まるまでコーヒーの粉は水で十分に湿らされ、その後、長い出口のスピゴットを通して抽出されたコーヒーが押し出される仕組みだったのでしょう。

19世紀半ばにケロシンが発明され、燃料源として広く採用されました。この革新により、アルコールバーナーの限界がいくつか克服され、準備に要する時間がさらに短縮されました。




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