WC_3.01 ランゲリア指数

ランゲリア指数

1936年カリフォルニア大学バークレー校のW.F.ランゲリア教授がある研究論文を発表しました。その中で彼は、水が炭酸カルシウムで飽和状態にあるときのpHを計算する新しい方法を説明しました。この飽和点はpHs(理論的pH値)として知られています。ランゲリア指数(LSI)は、今日知られているように、水サンプルの実際のpHと、炭酸カルシウムで飽和しているときのpHとの差を表します。

LSIがゼロの場合、水はバランスが取れており、石灰鱗(ライムスケール)を溶解したり析出したりすることはありません。マイナスの場合は、水が飽和しておらず、炭酸カルシウムを溶解する能力があることを示します。-2などの非常に低い値は、水が炭酸カルシウムを溶解する可能性が高いことを示しており、水がボイラーやパイプ内の腐食を引き起こす可能性が高いことが推測されます。プラスの値は、水が炭酸カルシウムで過飽和であり、石灰が析出されることを示します。例えば、読み取り値が2の場合、著しい量の石灰の堆積物(石灰鱗、ライムスケールとも)が残りやすいことを示します。


ランゲリア指数スケールの図。負の数は腐食性を示し、正の数は石灰鱗(ライムスケール)形成の可能性を示します。上記の図は-2から+2までのランゲリア指数スケール。そのスケールの両端において腐食が起こる可能性と石灰鱗(ライムスケール)が形成される可能性を示します。

ランゲリアは、飽和水で石灰鱗(ライムスケール)が形成される可能性を戦略的に活用することを思いつきました。彼のアイデアは石灰鱗(ライムスケール)をある種のテフロンのようなコーティング剤として使用することでした。1936年に発表された論文では「炭酸カルシウムは単体、もしくは錆とともに用いることにより、自己修復または自然保護力のある皮膜の形成を助ける」と述べています。

        この図の緑色の範囲は、La Marzoccoの安全な水域を示しています。LSI値は0.2〜0.7です。前項のScott Guglielmino氏の推奨事項を参照した場合、LSIが0.2から0.7の範囲にある水は、石灰鱗(ライムスケール)の形成をある程度促進させるが、過度ではない安全なレベルの飽和度にあることを示しています。

LSIを計測するためには、LSIカリキュレーターが必要となります。オンラインで使用できるものもあり、Android端末を利用される方であれば、チェコ出身のバリスタJan Komarek氏によって開発された「Water Geek」と呼ばれる無料のアプリをお勧めします。この先端的な無料アプリでは月毎のボイラー内に堆積する石灰鱗(ライムスケール)をミリグラム単位で予測することができます。また、蒸気ボイラーと抽出ボイラーでの水の挙動の違いも考慮されています。蒸気ボイラー内の温度は通常約120℃で、抽出ボイラー内の温度はグループヘッドで抽出される際の設定温度と近い温度になります。

他にも、優れたリソースとしてLa Marzocco社のウォーター・カリキュレーターがあります。このウェブアプリでは、La Marzocco社が考える水の安全性を管理するための最大限または最低限の推奨レベルを計算することができます。

総溶解固形分(TDS)[ppm]
90
150
総硬度[ppm]
70
100
総鉄分(Fe+2/Fe+3)[ppm]
0
0.02
遊離塩素(Cl2)[ppm]
0
0.05
全塩素(Cl2)[ppm]
0
0.1
pH
6.5
8
アルカリ度[ppm]
40
80
塩化化合物(Cl-)[ppm]
0
30


コーヒーを抽出する場合、使用する水が機械の内部にあり、完全に加熱された状態の温度にて、LSIカリキュレーターを使うことが重要です。この点について、ランゲリアは前述の論文内で次のように述べています。

「水の温度を10℃から90℃へ上昇させると、LSIは−0.7(5分の1の飽和状態)から−0.1(実質的飽和状態)へと変化していく。これは、温度が上昇すると炭酸カルシウムの溶解性が低下するためである」

炭酸カルシウムの、加熱により溶解性が低下するという性質は、第1章で触れたので覚えている方もいるかもしれません。炭酸カルシウムは、温度が90℃の場合、25℃のときと比較すると溶解性が3分の1ほど低下します。つまり、コーヒーを抽出する水の温度が高いほど、ミネラル分が沈殿する可能性が高くなります。


3.01 終

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