Æ_4.03粒子のサイズと形
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Æ 4.03粒子のサイズと形
左:エスプレッソ用に挽いた粉、右:フィルター用に挽いた粉
ジャミングの発生には、粒子間の摩擦や粒子の変形しやすさ、粒子のサイズと形などを含む複数の要素が関係します。ジャミングは、連結した粒子網を形成するのに十分な粒子が接触したときに発生し(JM バルベルデら、2004)、コーヒーベッド全体に力を伝達します。
粒子がコーヒーベッド全体のつながりを形成するのに十分な密度になるこの点を浸透閾値と呼びます。
浸透閾値
この場合の「浸透」とは、コーヒーベッドの隙間をお湯が通ることではなく、ベッドそのものの連動性を指します。密度、すなわち粒子間のつながりが増えるにつれて、粒子は互いにつながって集合体になっていきます。集合体はさらに大きなつながりを形成し、ついにはベッド全体に広がります——その地点が浸透閾値です。
浸透閾値:(a)低密度のとき、粒子間に相互作用はほとんどありません (b)粒子が追加され密度が増すと、粒子間の相互作用が促され集合体が形成されます (c)さらに密度が増すにつれ、集合体の相互作用の範囲が広がっていきます (d)浸透閾値に達すると、この相互作用はコーヒーベッド全体に広がります。
この概念は、私たちが慣れ親しんだ、水が多孔性物質を通過するという意味の「浸透」の概念と数学的に関係があります。この場合において水が通過できるようになるには、粒子ではなく細孔が同様の方法でコーヒーベッド全体で相互接続する必要があります。
アスペクト比
アスペクト比とは粒子の最長寸法と最短寸法の比率です(縦横比と同様)。球体のアスペクト比は1:1で、細長い形状になるほどアスペクト比は高くなります。
この粒子のアスペクト比は最長寸法(a)と最短寸法(b)間の比率で、およそ1:2です。
アスペクト比が高い粒子は低密度でも浸透します。粒子の形状が完璧な球体なら、浸透閾値は密度がおよそ28%のときです。アスペクト比100:1の細長い粒子なら、たった1%の密度ですべての粒子がつながり合います。
アスペクト比と浸透閾値の影響に関する詳細は、メタルナノ粒子を加えることで物質を導体に変化させる試みを例にとった、アボット教授の解説で詳しく説明されています。長く、薄い粒子はより低い密度で浸透します。もし長く薄いナノ粒子を使えば、物質を導電へと変化させるために必要な粒子の量ははかなり少なく済みます。
アスペクト比が浸透に及ぼす影響によって、タンピング時にコーヒーベッドが「詰まる」ポイントが決定します。さらにアスペクト比は、充填密度にも関係しているおり、コーヒーパックに別の影響をもたらします。もし適当にコーヒーを詰めようとすると、コーヒーベッドの密度は粒子の形状に左右されます。粒子の球形度が低いと、まず充填密度がわずかに上昇し、その後一気に下降します(PM チェイキンら、2006)。アスペクト比が約1.5のとき充填密度は最高値に達し、完全な球形を1とすると、その際の球形度は0.85に相当します(J Zhao et al., 2011)したがって球形度が0.85未満の場合、密度は低くなります。通常コーヒーの粉の球形度は約0.75~0.85(KM モロニーら、2019)なので、この範囲内で最も球形度の高いコーヒーで、密度も最高値に達すると考えられます。
これはコーヒーにとって何を意味するのでしょうか? もしコーヒーの粉の球形度が低ければ低密度で浸透が始まりジャミングが発生し、結果的にボイド率も大きくなります。ボイド率が大きいということは、粒子間の隙間が増え、個々の隙間も大きくなることを意味します。レッスン4.01で学んだように、たとえ微細な変化でも細孔のサイズが変わるとお湯の流れに大きな影響が出るため、流量が不均一になるとともにチャネリング発生の可能性が高まります。これは粒子の球形度の低い(第1章で学んだコニカル刃のグラインダーによって生み出される細長い粒子がその一例)と、パック内のお湯の流れが不均一になり、その結果抽出も不均一になる可能性があるということです。
粒度
粒度分布もジャミングの発生に影響します。例えば、ホッパーを通る粉の動きに関する研究で、Y ザオら(2018)は粒度分布が広がるとジャミングの可能性が増すことを発見しました。
4.03 終