WC_5.02 風味と味わい
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風味と味わい
サードウェーブにおけるコーヒーに使用する水の進化
2000年代前半にスペシャルティコーヒーの文化が花開き始めるなか、水がコーヒーの品質にどれほどの影響を与えているか、に関する理解が広がるまでに長い時間がかかりました。水の化学的な側面がコーヒーの品質にどのような影響を及ぼしているかについては、ある発見がスタート地点となりました。その発見とは、軟水地域のロースターの焙煎度は硬水地域のロースターに比べ深かったということです。広範に見られたこの傾向は、やがて硬水地域の緩衝能の高さが原因であると解明されました。
軟水地域では、酸味の減少につながる緩衝能の低い軟水が使われるため、カッピングでは酸味を感じやすくなります。そのため、軟水地域のロースターは自然と焙煎プロセスを通じて酸味を抑えようとします。より高温で長時間焙煎することで、酸の分解と揮発によってコーヒーの酸味は低下します。硬水を用いてカッピングをしているロースターでは、酸味を強めるためにコーヒーが浅めに焙煎される傾向がありました。硬水地域のロースターは、過剰な硬度によってフルーティーな風味が和らいでしまったことから、多くの味わいが損なわれていました。
硬水を使用するロースターは浅めの焙煎、軟水を使用するロースターは深めの焙煎という傾向を示すインフォグラフィック
近頃はスペシャルティコーヒーロースターも、海外の卸先顧客やサブスクライバー(定期購買者)に商品を発送することがよくあります。つまり、硬水地域のロースターが軟水地域のカフェに焙煎豆を販売することも(その逆も)珍しくありません。そのため、ロースターが理想とするフレーバーを再現するために、ロースターが使用する水に類似した水レシピの使用を検討することをお勧めします。
スペシャルティコーヒー業界における水のレシピは、以前と比べて遥かに標準化されてきています。しかしながら、あるロースターの水質を正確に再現するというのは、かつて考えられていたよりも更に複雑であることがわかっています。なぜなら、ミネラルの置換をせずに水中のマグネシウムイオンとカルシウムイオンのバランスを変えることが非常に難しいためです。また、マグネシウムとカルシウムはかなり異なるメカニズムでコーヒーのフレーバーに影響を及ぼしていることがわかり、この点についてはようやく研究を通して解明し始めたばかりです。
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