焙煎理論と実践 4.02 焙煎プロファイルのフェーズ

HTR 4.02 焙煎プロファイルのフェーズ



ロースターは通常、焙煎プロファイルにおいて「ドライングフェーズ」「メイラードフェーズ」「ディベロップメントフェーズ」という3つのフェーズを使って説明します。ですが残念ながら、このフェーズの名前は少し誤解を招くことがあります。

「ドライングフェーズ」というのは、焙煎の開始から豆の色が変わり始めるまでの時間を指します。この色の変化は、豆が約150°Cに達したときに起こります。この段階では、豆の中の大部分の水分が蒸発すると言われています。ですが実際には、豆は1ハゼ直前まで水分を一定のペースで放出し続けます。「イエローイング」として説明される色の変化は、ドライングフェーズの終わりを示すものとされていますが、この変化の定義ははっきりしておらず、やや主観的です。

「メイラードフェーズ」は、イエローイングが始まってから1ハゼが起こるまでの時間を指します。このフェーズは、コーヒーの色やフレーバーの多くを作り出す化学反応である「メイラード反応」にちなんで名付けられました。ですが、メイラード反応はこのフェーズのみで生じるわけではありません。メイラード反応は焙煎の他のフェーズでも起こりますし、実際、生豆の状態でもゆっくりと進行しています。

最後に「ディベロップメントフェーズ」は、1ハゼが始まってから焙煎が終了するまでの時間を指します。この用語も誤解を招きやすいものです。というのも、実際にはコーヒーのディベロップには焙煎の最後のフェーズだけでなく、焙煎全体のプロセスが影響しているからです。焙煎の全体的な温度変化や反応が、コーヒーの最終的なフレーバーに重要な役割を果たします。


焙煎の3つのフェーズについて、グラフの上部に示された「フェーズバランス」は、各フェーズに費やした総時間の割合を指します。


一部のロースターは、コーヒーが各フェーズに費やす時間の割合(いわゆる「フェーズバランス」)を調整しようとします。例えば、メイラード反応はコーヒーの多くの良いフレーバーに関係しているため、ロースターはメイラードフェーズで過ごす時間を増やすように焙煎プロファイルを設計することがあります。このアプローチの利点は疑問視されています。なぜなら、メイラード反応は「メイラード」フェーズに限定されるわけではなく、焙煎全体を通じて進行するからです。さらに、あるフェーズの長さを変更すると、他の焙煎段階にも影響を与えてしまうため、フェーズごとの時間を調整するのは非常に難しいです。

その代わりに、ローストカーブ全体の形状を管理することに集中する方が良いです。これにより、RoRが安定して低下するように保つことができ、自然に適切なフェーズバランスが実現します。このアプローチは、ベイクドやロースティなフレーバーを防ぐのにも役立ちます。


4.02 終

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