ACM_1.8 屈折計の構造
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屈折計の構造
簡単な屈折計なら家庭でも作ることができますが、コーヒー用として使用することはできません。 コーヒーは繊細な飲料であり、人間の舌はその濃度の僅かな変化をも捉えることができます。 つまり、コーヒーの濃度を測定する屈折計は非常に精密な機器である必要があります。 正確な数値の測定が可能な、簡易型の屈折計を作る技術は非常に複雑ですが、屈折計の基本構造を理解することは可能です。
光源がレンズを通し光子を照らしてプリズムとなります。 そして光はプリズムと検体の接触面に向かって予想しやすく再現性のある方法で進みます。 光は検体を通過しません。単にガラスと液体の接触面にあたり、探知機に戻っていきます(動画参照)。 光線がガラスプリズムを透過して方向が変わる、昔習った理科の授業を思い返すと良いでしょう。 これによく似た現象が全反射と呼ばれ、入射角を大きくすると境界面を透過せず、すべて反射します。
もし検体の屈折率が大きければ、反射角はより急になります。逆もまた然りです。 線形検出器は光の長さ、そして探知機のどこに光を受けたかで反射角を計測し、屈折率を導き出します。
簡単な屈折計は、果物農家がフルーツに含まれるショ糖の濃度を記録する際に用いられており、糖度計(Brix:ブリックス)と呼ばれています。熟したコーヒーチェリーからは僅か3滴ほどの液体しか取れません。その液体をスパイが使うような望遠鏡型の屈折計レンズにセットすれば、農家は適切な収穫のタイミングをミューシレージ(粘液質)の糖度を計測することで判断することができるのです。通常収穫に適したショ糖濃度は15~25%の間です。ちなみに、農家は種子(豆)でなくミューシレージ(粘液質)の糖度を計測するので、その糖度は液体として感じる甘さに直結することはありません。
The construction of the refractometer
コーヒーの複雑な化学の裏側
コーヒーは化学的にとても複雑な飲み物で、それぞれが独特の屈折率をもつ約900種の化学物質を含んでいます。このため劇的に異なる化学組成のコーヒーを淹れる際や、非常に異なる水(質)でサンプルを比較する際に、測定結果が異なる場合があります。屈折計は強度の計測にとても有効な道具ですが、あなた自身の味覚で調整することも重要なのです。
1.8 終