ACM_2.1 過抽出と未抽出の味覚的印象

過抽出と未抽出の味覚的印象

過抽出と未抽出はどのような味なのでしょうか、そしてなぜそのような味がするのでしょうか?

抽出は、液体の強さと同じように、味わいと質感で理解できます。 抽出過程では、種々な成分が異なるタイミングで溶解します。 抽出過程の溶解度の差は、個々の物質の重さの違いが生み出します。軽い物質は溶解に熱量も時間もあまり必要とせず、重い物質は溶解に熱量と時間を必要とします。ただし、この溶解度の差異は、幸運にもわかりやすい違いとして味覚的に認識できます。

未抽出の味わいは圧倒的に満足感に欠けます。 甘味は非常に弱く、酸の量は多く、その質は良くありません。 また、ナッツ(ナッティ)、野菜(ベジタル)、草っぽさ(グラッシー)、しょっぱさ(ソルティ)、塩気のある味わいなど、不快なフレーバーを知覚した途端、広がりに欠ける短い後口でフィニッシュします。

しかし、上記のネガティブなフレーバーを感じ取らせる成分は、適正な抽出を行ったとしても存在しますのでご注意ください。抽出の後半に、味わいのバランスを取る成分が抽出されるので、結果としてネガティブなフレーバーが覆い隠されるのです。

過抽出も同様に好ましくありません。 過抽出はドライな口当たりを生み出し、より強い苦味をもたらします。 しかしあらゆる抽出液体中に未抽出、過抽出で感じられる味わいが含まれていることもまた事実と言えます。

それでは適正な抽出とは何でしょうか? 抽出のゴールとは バランスをもたらすことです。 最高の抽出とは、味覚と嗅覚のみならず、全ての味わいを満遍なく引き出している抽出でしょう。 最良のバランスを達成する鍵は、甘味と滑らかさです。 未抽出、もしくは過抽出のコーヒーは、甘さより、苦味や酸っぱさが目立ちます。 過抽出か未抽出であれば、口内が乾くようなドライな味わいを感じますが、その一方で甘味は崩れたバランスを補正することができます。 すなわち、異なるレシピで調整した抽出に、より甘さや滑らかさを感じたとするなら、適正な抽出への第一歩を踏み出したと言えます。

Coffee Cupper's Handbook, の著者であるTed Lingleは、カッピングにおけるバランスの採点方法を説明しています。 『カッパー(評価者)がバランスを評価するポイントとは、アロマ、酸の質、フレーバー、ボディ、後味の印象度(アフターテイスト)、この5つの味覚要素の総合的な嗜好評価である。バランスは概ね素晴らしい品質のコーヒーに見られる最も重要な特性であり、カッパーのポイント(Cupper's Points)とも言える項目であるが、逆に言えばひとつ、ふたつのマイナス要素によってバランスが崩れただけで減点される項目でもある』

2.1 終

ブログに戻る