Æ_3.03 ディストリビューションのベストプラクティス

Æ 3.03 ディストリビューションのベストプラクティス

ディストリビューションは抽出工程の一部ですが、よく見過ごされたり軽んじられたりします。タンピングはお客様にもバリスタの重要なスキルとして認識されていますが、その神髄はシンプルで機械的な動きである一方、ディストリビューションには色々な方法があり、理想的なディストリビューションの方法に関する結論はまだでていません。


グラインダーによるディストリビューション

適切なディストリビューションはグラインダーから始まります。グラインダーから出てきたコーヒーがどのようにフィルターバスケットに収まるかは、抽出に大きな影響をもたらします(G デイビス、2016)。理想的には、挽いた粉が始めから終わりまでバスケットに均等に落ちるようにグラインダーが設計されていて、バリスタが別途ディストリビューションに手をかけなくてよい状態が一番です。

つまりグラインダーの設計にもよりますが、グラインド中にポルタフィルターの位置を変えたり動かしたりすることは、ディストリビューションを改善する第一歩となりえます。最近のグラインダーはこの点が考慮されており、バスケットに適切に粉が落ちるよう、調節可能なフォークやシュートが取り付けられています。例えば、最近のグラインダーの多くは、フォークの位置を微調整できるようになっていますし、粉が排出されるシュートの角度を変えられるものも存在します。可能であれば、このような方法でグラインダーを調整したりポルタフィルターを固定したりして、粉がバスケットの中央にきれいに落ちるようにしましょう。


微粉のディストリビューション

ディストリビューションという概念には、さまざまな大きさをしたコーヒーの粒子の配置も含まれています。この点において、ある種類のグラインダーは他のグラインダーよりも優れているようです。Nuova SimonelliのグラインダーMythos Oneの開発に携わった、2009年のワールド・バリスタ・チャンピオンのグウィリム・デイビス氏によれば、コーヒーの粉の排出が不均一なグラインダーが存在するとのことで、「初代Mythosではマシン側に重い粒子が、バリスタ側に軽い粒子が排出されていました。そのため、バスケットの奥から手前に向かって抽出が段階的に進行します」とデイビス氏は言います。この問題は、ダマを砕く機構やグラインダーの速度を落とすことで解決可能ですが、他のグラインダーでは問題は残ったままです。もし、あなたのグラインダーにこのような不均一なディストリビューションが疑われるなら、撹拌する(後述の「Weissのディストリビューションテクニック」を参照)など、バスケットに収まったコーヒーの粉全体を大きく動かすようなディストリビューション法が役立つでしょう。

グラインダーの設計による影響に加え、さまざまなディストリビューションのやり方の中にはコーヒーベッド内の微粉の分布に影響を与え、微粉の移動を引き起こすものもあります。

粒状の物質(コーヒーの粉や袋に入ったミューズリーなど)は、振られたり振動を与えられたりすると、液体のように動き始めます。するとその物質は「流れ」始め、液体の対流のような動きを見せます。これは粒子の対流、もしくは「ブラジルナッツ効果(大きなブラジルナッツが、ミックスナッツの表面に浮き上がることから名付けられた)」として知られています。

粒子が動くと小さな粒子は底に沈み、大きな粒子は上部に「浮かび」上がります。そのためタッピングを伴うディストリビューションでは、より多くの微粉がパックの底部に移動する可能性があるのです。

しかし、実際はこれがコーヒーに重大な影響を与えているという証拠はほとんどありません。その理由のひとつは、コーヒーの粉がグラインド時に発生する静電気を大量に帯びているということ。とても細かい微粉は自由に動かず、大きな粒子にくっつく傾向があります(つまり微粉を取り除くために粉をふるいにかけても十分な効果は得られません)。「ふるいがけ……は分離の効率が低いと言えます。コーヒーの粉の粒子間には強い接着力が働くからです」(クーンら、2017)。タッピングに関するバリスタハッスルの実験で、バスケットを固い所に100回ほど軽く打ち付けたところ、タッピングと抽出時間には相関がないと分かりました。こちらのリンクにその研究結果が掲載されています。

 

タッピングの実験結果と私たちが採ったディストリビューションの方法がまとめられた動画。


3.03 終

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