ドリップとバッチブリュー_2.04 グラインド

2.04 グラインド

グラインド

時間と挽き目の関係

「抵抗」という言葉は、抽出時間と挽き目設定の相互関係を表します。コーヒーを一切挽かずに豆のままドリップを行った場合、15秒程度でお湯がすべて落ち切るでしょう。お湯は、豆の間の大きな隙間を容易に通り抜けることができます。豆のままのコーヒーは、水の流れに対する抵抗がありません。ただし、エスプレッソマシンを使って同様の実験を行った場合(バリスタワンコースで行うように)、15秒弱ほどかかるでしょう。ドリップコーヒーでは、エスプレッソマシンのようにポンプでお湯が押し出されていないため、もう少し時間がかかります。ペーパーフィルターも少し抵抗を増やします。ペーパーフィルターの穴は直径約20μmと非常に小さいため、相当な抵抗が生じると思うかもしれません しかし、穴は無数にあいているため、その何百万もの穴の表面積を合計すると、大きめの穴の表面積と同じになります。

極細に挽いたコーヒー粉を使用すると、ペーパーフィルターの目が詰まることがあります。紙の細孔は、微粒子(コーヒーの微粉)が詰まりやすい傾向があります。微粉で完全に穴が詰まってしまい、お湯が一切流れなくなることがあります。製紙業界では、この過程を沈殿と呼んでいます。このため、ドリップコーヒーを作る際には、微粉を過剰に生成するコーヒーグラインダーの使用に注意が必要です。コーヒーグラインダーはどれも相当な量の微粉を生成しますが、スパイスミルなど一部のグラインダーは、フィルターコーヒーの用途には向きません。

ペーパーフィルターの20 μmの穴に完全に収まるほど小さなコーヒーの微粉の割合は、コーヒー粉の総質量の1%未満です。しかしながら、ドリップコーヒーに適した一般的なグラインドプロファイルで、コーヒーの粒子を質量ではなく数で測定した場合、100 μm超の粒子1個につき、それ以下のサイズの粒子が1億個あることが研究でわかっています。これは、細孔の数を桁違いに上回るものです。



顕微鏡によるペーパーフィルターの拡大写真


微粉の移動

コーヒーを粗く挽くほど、生成される微粉は少なくなります。これの良い例えは、大工が木の板を切断することです。大工が切り出す木片の数が多くなるほど、おがくずの出る量も多くなります。バリスタにとって、おがくずに相当するものが微粉です。すべてのコーヒーグラインダーは微粉を生成し、微粉はすべて透過の特性によって、コーヒーベッド内でより低い場所へ移動する傾向があります。

エスプレッソ抽出の際に見られる微粉の移動は、透過法による抽出では大幅に減少します。それは沈積によって生じるフィルターベッドの性質によるものです。コーヒーには、自身をろ過するという独特の特徴があります。粒子は、コーヒーベッドの中でさらに下へと洗い流されないように、粒子同士ぴったりとくっつきます。この性質により、フィルターコーヒーの特徴的な透明感と滑らかな口当たりが作り出されます。



2.04 終

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