IM_1.02 クラスト
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IM 1.02 クラスト
動画:15分間の抽出プロセスにおけるクラストの変化
コーヒーの粉に水を注ぐと、その数秒後からクラストが液面に形成されていきます。このクラストをどう扱うかは、その後の抽出具合にも大きな影響を与えます。
クラストはコーヒー豆が焙煎プロセス中に微多孔質になることで形成されます。焙煎後のコーヒーの細孔は直径が通常20〜50nm(ナノメートル)程度です(シェンカーら、2008)。シェンカー氏の研究による次の写真は、コーヒー豆の一つの細胞内に含まれる何千もの細孔を写したものです。
画像:この画像のコーヒー豆は非常に深く焙煎されたもので、細胞壁の個々の細孔から油が染み出ているのが見られます。 (出典:シェンカーら、2008)
コーヒー豆の細孔の中まで浸漬されてカップの底へ沈降するのに十分な密度になるまでは、この微多孔質の構造によってコーヒー粒子は短時間ながら水に浮くことができます。一番大きいサイズの粒子に水が浸透するには時間がかかるため、粒子が大きいほど浮力を維持できる時間が長くなります。コーヒーの粉に水を注いだ後、たとえすべてのコーヒーの粉の表面を水でうまく囲むことができたとしても、大量の大きい粒子が水の表面に浮き上がります。この現象はコーヒー豆を使った簡単な実験で観察することができます。高品質の生豆(未焙煎)は水に浸すと沈みます。しかし焙煎したコーヒー豆は、24時間以上水面に置いたままにしても、水面下に沈むことはありません。これは、豆の破裂していない細胞の内部や微多孔質構造中に大量のガスが閉じ込められているためです。
フレンチプレスなど多くの浸漬法では粗く挽かれることが多く、その際の一般的な挽き目の設定では、グラインダーの刃と刃の間に約800um(マイクロメートル)の隙間があります。これは1つのコーヒー粒子の中には、破裂していない細胞の層が多く存在している可能性があり、水が完全に浸透するまでには時間を要するということを意味します。浮かび上がるのはクラスト内の大きい塊だけではありません。クラスト内のガスによる気泡(主に二酸化炭素で構成されている)の膜は、微粉などの細かなコーヒー粒子を多く保持しています。
コーヒー豆の細胞壁は焙煎の過程で乾燥して膨張していき、その特性を失います。コーヒー豆は焙煎中にそのサイズが2倍になることにより、コーヒーの粉の中まで水が浸透しやすくなります。最終的にはコーヒーの粉の細孔内部からも水が溢れ出しますが、微粒子(微粉)の場合はこのプロセスがはるかに速く起こります。微粉は浮力をより失いやすいので、塊(大きな粒子)よりも早くカッピングボウルの底に沈みやすくなります 。
1.02 終