RS_1.02 直接加熱するタイプのドラム式焙煎機の詳細
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RS 1.02 直接加熱するタイプのドラム式焙煎機の詳細
最新の直接加熱するタイプのドラム式焙煎機は、基本的な機能は同じです。下の図は、典型的な直接加熱するタイプのドラム式焙煎機の詳細を示しています。
直接加熱するタイプのドラム式焙煎機の図。茶色の矢印は、焙煎機を通る豆の動きを示しています。白い矢印はエアフローを示しています。(ペレイラら、 2020)
ドラムの下にあるガスバーナー(または他の熱源)がドラムを直接加熱します。同時に、排気口のファンが焙煎機に空気を引き込みます。バーナーは、空気が焙煎機の中に入る際に急速に空気を加熱し、その熱気はドラムを通過して排気口に到達します。
豆は、焙煎機の上に配置されたホッパーを介してドラムに入ります。ドラム内のパドルが回転することで豆をかき混ぜ、豆が均一に加熱されるようにしています。豆は主にドラムの内壁からの伝熱とドラムを通過する熱風からの対流によって加熱されます。排気ファンは、焙煎中にドラムから煙とチャフを取り除き、サイクロンがチャフを排気から分離させます。
焙煎の工程が終わったら、豆はドラムの前方にあるドアを通り、冷却トレイに落下します。冷却トレイ内で豆を素早く均一に冷却させるためにパドルによって混ぜられている間、強力なファンが豆を通して冷気を吸い込みます。
ドラム
ドラム焙煎機の内側にあるミキシングベーンまたはパドル
ドラムは、シングルウォールまたはダブルウォールのいずれかで、穴の開いていない金属または穴の開いた金属でできています。直接加熱するタイプのドラムは、炎の熱から豆を保護するために、一般的に穴の開いていない金属で作られています。例外は、発熱体が赤外線を介して豆に熱を伝達するように設計されている焙煎機の設計です。
ダブルウォールのドラムは2層の金属から成り、層と層の間に空気があります。これにより、内側のドラムの表面は炎の熱から断熱され、伝熱によって豆に伝わる熱量が減少します。内側のドラムに伝達される熱はより広範囲に広がり、「ホットスポット」の発生を防ぎます。これにより、より均一な焙煎が可能になり、豆の表面を焦がすリスクが軽減されます。
シングルウォール(左)およびダブルウォール(右)のドラム。ダブルウォールはドラムを断熱し、熱をより広い領域に分散させ、豆の表面を焦がすリスクを減らします。
より厚いドラムまたはダブルウォールの設計を使用すると、より速い焙煎が可能になります。このタイプのドラムは熱伝導によって豆に伝達される熱の量を減らすので、より速く焙煎が可能になる点は直感的に理解しにくいです。ですが、豆の表面が焦げるリスクが軽減されることで焙煎機はより高温で焙煎でき、対流によって伝達される熱量が増加するため結果的に焙煎が速くなります。
バーナー
バーナーがうまく設計されていると、ロースターは焙煎機の熱出力を迅速かつ正確にコントロールできます。
直接加熱するタイプのドラム式焙煎機では、熱源はドラムの下にあります。焙煎中にドラムに到達する熱をコントロールするには、ロースターが熱出力を迅速かつ正確にコントロールできる必要があります。これが、直接加熱するタイプのほとんどのドラム式焙煎機が、熱源にガスバーナーを使用している理由です。
主な例外は、サンプルを焙煎するために設計されたような非常に小さな焙煎機です。電気の発熱体は加熱・冷却に時間がかかり、発熱体が大きいほど時間がかかります。サンプルロースターの小さな発熱体は、小ロットの焙煎には十分な速さで加熱および冷却することができます。
サンプルロースターの小さなドラムは、電気の発熱体によって効果的に加熱することができます。
ガスを使用するサンプルロースターには、さまざまなタイプのバーナーが採用されています。バーナーのタイプは大きく分けて2つのカテゴリーがあり、大気圧バーナーと強制吸気バーナーに分類されます。
自己吸引バーナーとも呼ばれる大気圧バーナーは、ガス単体の流れを利用して、燃焼に必要な空気の大部分をバーナーに引き込みます。この動きは、ベンチュリまたはインスピレーターと呼ばれるデバイスに依存しています。この狭い開口部または吹き出し口は、フローリストリクターと同様に、ガスがバーナーに到達する前にガスの流れを遮断します。ガスが狭い開口部を通過するためには、それにつながっている広いホースをガスが通る時よりもはるかに速く通過する必要があります。ガスの速度が速いほど圧力が低いというベルヌーイの定理を利用し、ベンチュリは低圧エリアを作ります。この低圧は空気をバーナーに吸い込み、ガスと空気を混ぜます。
ベンチュリの狭い開口部は、バーナーに低圧エリアを作り、燃焼のために空気を吸い込むことを可能にします。
空気圧バーナーはシンプルでメンテナンスの手間がなく、電気を必要としません。ただし、ガス圧や大気条件の変化は、ガスと空気の比率に影響を与え、燃焼の効率を低下させる可能性があります。ガスの浪費に加えて、不完全燃焼は一酸化炭素と煤が生じる量を増加させます。
これらの欠点を克服するために、一部の焙煎機は、パワーバーナーまたはプレミックスバーナーとしても知られる強制吸気バーナーを使用していました。このタイプのバーナーは、ブロワーが積極的に空気をバーナーに送り込みます。このタイプの中で最も洗練されたバーナーは、ガスの圧力の変化に合わせて導入する空気の量を自動的に調整することができ、あらゆる条件下で最適なガスと空気の比率を用いることができます。強制吸気バーナーは、より高価で複雑なバーナーですが、より効率的で強力でもあるため、一般的に大型の焙煎機で使用されています。
ブロワーを使用してミキシングチャンバーに空気を送り込む強制吸気バーナーの簡略図
空気圧バーナーおよび強制空気バーナーは、さまざまなタイプのバーナーヘッドを用いて設計可能です。これらは通常、キャンドルバーナーやリボンバーナーなどの裸火を持っていますが、パティオヒーターに見られる種類のバーナーと同様に、燃焼面として金属またはセラミックメッシュを使用することもあります。このタイプのバーナーは主に赤外線熱を発生させますが、裸火は主に対流によって周囲の空気を加熱します。
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