バリスタワン_4.03 目標温度

目標温度

目標温度と温度計の使用

牛乳は長期間安全に飲めるように殺菌されていますが、衛生面に関する法律は国によって異なります。たとえば、バリスタハッスルの本拠地であるオーストラリアでは、連邦法により乳業メーカーは生乳を72℃以上で15秒間の加熱処理をするよう義務付けられています。ちなみに生乳をスチーミング工程で殺菌処理しようとすると、コーヒーショップのメニューに使用される牛乳の加熱温度を遥かに超えてしまいます。70℃を超えると舌をやけどしてしまうので、店舗においては55℃〜60℃が適正な提供温度帯となります。この2つの異なる観点から考える牛乳の加熱温度帯の違いは、スチーミングに関わる全ての工程において、徹底した衛生管理が不可欠であることを意味しています。つまりスチーミング工程だけでは、細菌を完全に殺菌できる温度まで加熱できませんので、乳業メーカーによって加熱殺菌処理された牛乳を使用する方法が現実的です。何れにせよ、牛乳に菌や異物が二次混入しないよう細心の注意を払って牛乳を取り扱いましょう。

(注)日本においては、食品衛生法の「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」により、「保持式により摂氏63度で30 分間加熱殺菌するか、又はこれと同等以上の殺菌効果を有する方法で加熱殺菌すること」と規定されています。

また提供温度を高めにしてほしい、と言うお客様も少なくないため、牛乳を熱めにスチームする時の温度基準を予め決めておくことが重要です。その際にはデジタル温度計があると便利でしょう。しかしデジタル温度計は、実際の温度を表示するまでに僅かに時差が生じるので、スチームバルブを閉める時には、実際の温度が表示温度よりも2~3℃高いということを考慮した上で使用してください。

カウンティング(手のひらや指を使って温度を感知する方法)

繰り返しスチーミングを練習すると、手のひらや指で目標温度を感知できるようになります。提供温度に達したことを手のひらや指で感知したら、そこから更に3~4秒間スチーミングして、ピッチャーが熱くて触れられない温度まで温めます。スチームする牛乳の量が多いほど、加熱には時間がかかります。

実は手のひらや指は、口よりも高温帯に敏感です。目標とする温度を手のひらや指で感知できるよう訓練するためにも、精度の高い温度計を使用して練習を繰り返しましょう。

 

動画:デジタル温度計の使用方法と、スチームを終えてからも温度が上がる様子。熱め(65℃)にスチームする際には、当該温度に到達するまでに要した時間も把握した方が良い。


ダスターを色分けして衛生管理を徹底する

下記は常備しておきたいダスターを、5つの用途に分けてリストアップしたものです。それぞれの用途に合わせて色分けしておくと非常に便利です。

1.ポルタフィルターとフィルターバスケットの拭き上げ用。このダスターは常に乾いた状態にし、グラインダーの近くに置くようにします。
2.ドリップトレイ用。(カップの底の汚れを防ぐため)このダスターは基本的に常にドリップトレイの上に置いておきます。
3.スチームワンド用。スチームワンドを拭くダスターが汚れていると菌の繁殖や異物混入の原因になります。保健所が指定する検査項目次第ではありますが、このダスターを誤って使用しないよう、色分けをした方が良いでしょう。また、スチームワンド用のダスターはマシンの上に置いてはいけません。あらゆる異物混入を防ぐため、このダスター専用のトレイを用意してください。
4.作業台用。作業スペースが汚れてしまった時にはこのダスターで拭きます。
5.カップ用。カップやソーサーに、汚れが付着している状態のまま提供しないようにしましょう。カップやソーサーの汚れを拭き取る専用のダスターを用意してください。スチームワンド用のダスターと兼用してはいけません。

色分けされたダスターが正しく配置された様子

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