バリスタワン_1.02 ディストリビューション
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ディストリビューション
手を使ったディストリビューション
ドーシングしたら、粉をバスケット内で均等に平す必要があります。理想的なディストリビューションとは、ポルタフィルター内に隙間やくぼみ、割れ目や盛り上がった部分がなく、平らで均一な状態を作ることです。
これは良い状態とは言えません。
これも良い状態ではありません。
これが理想的な状態です。ディストリビューションは常に平らで均一な状態にしましょう。ディストリビューションは3秒以内に行えます。どんなに忙しいお店でも、正しいディストリビューションを丁寧に行うよう心掛けてください。
ディストリビューションの方法
理想的なディストリビューションを行うには、バスケット内の粉の垂直方向の分布と水平方向の分布の両面から考える必要があります。手のひらでポルタフィルターの側面を軽く叩く「タッピング」をすると、簡単に水平に慣らすことができます。
水平方向のディストリビューション
手のひらでポルタフィルターの側面を軽く叩くと、バスケット内の粉が中央から縁の方へと広がり、バスケット内の粉の密度が均一になります。この方法にはややコツがいりますが、一度習得すれば難しくはありません。よくある失敗例を見てみましょう。
タッピングが強すぎると:
タッピングが弱すぎると:
ちょうどいい強さだとこうなります:
垂直方向のディストリビューション
ワークテーブルやグラインダーフォーク(ドーシングの際にポルタフィルターを乗せる部品)上にポルタフィルターの底面を軽く当てると、粉がバスケットの底に向かって広がり、隙間がなくなって粉の密度が上がります。この方法を用いるとバスケット内の粉の垂直方向の分布が均等になります。ディストリビューションを行う際は垂直方向、水平方向のどちらから行っても構いませんが、ドーシングの際にバスケット内の粉が山盛りになった場合は、垂直方向のディストリビューションを先に行うバリスタが多いでしょう。これにより粉が溢れることを防ぎ、水平方向のディストリビューションが容易になります。逆にバスケット内の粉の高さが低ければ、水平方向のディストリビューションを先に行います。グラインダーによっては、粉の状態がダマもなくふわっとした状態で挽き出されるグラインダーもあれば、粒がダマになって固まって出てきてしまうグラインダーもあります。ダマができてしまった場合は、水平方向のディストリビューションを先に行った方が、ダマが崩れやすくなり、より均等に慣らすことができます。
叩く回数はきちんと数えて、毎回同じ回数で叩くようにしましょう。垂直方向のディストリビューションの際には、同じ高さから、ポルタフィルターの底面部を叩くようにしましょう(GIF参照)水平方向のディストリビューションの際には、空いている手でポルタフィルターを叩きます。慎重かつ一貫性を持って正確に行ってください。ドーシングと同時にディストリビューションを行う場合は、毎回同じタイミングでディストリビューションするようにします。
正確なディストリビューションを行うには一貫したルーティンが欠かせません。手元がぐらついたり、ハンドル部を上下左右に揺すったりするだけでは一貫性は保てません。また、柔らかいゴム製のタンピングマットや不安定な作業台は、ディストリビューションを行う場所として適しません。垂直方向のディストリビューションは安定した平面の台の上で行ってください。一貫性に影響が出そうな場所では行わないようにしましょう。
ディストリビューター
タッピング以外にもディストリビューターを使用してディストリビューションを行うこともできます。このツールは底部が隆起しており、ディストリビューターをバスケットの上に置くと、隆起部分がバスケット内に沈み込み、バスケット内の粉の層の上部と隆起部分が接触します。そして置いたツールを素早く回転させることで、正確で均一なディストリビューションができます。ディストリビューターは粉の層の上部の均一性を高める性質があるため、ディストリビューターを用いる前にバスケット内の粉の層をある程度手を使ってディストリビューションし、水平な状態にすることで、ディストリビューターを効果的に使用することができます。