
ミルクビバレッジの検証~注ぎ、冷却、漉す~
共有
8名のBHコース受講者の皆様と共に、ミルクビバレッジの検証会を開催いたしました!
「注ぎ方」「エスプレッソ抽出後の放置時間」「クレマの量」「エスプレッソの温度」を変えたものを飲み比べ、それぞれのカップクオリティーへの影響を探っていきました。

最初に基本の注ぎ(下記①参照)でテイスティングを行いました。「酸味をしっかり感じる。ややドライ。」というコメントが上がりました。
ここからの改善点を考えている際に、
「ミルクビバレッジのネガティブな要素はクレマに起因しているのではないか?」
「時間を置いた際にフレーバーが改善されるのは温度?それともガスが抜けるのが原因?」
という声をもとに下記の条件で検証を実施しました。


実施した条件
①基本の注ぎ
-カップへ直接エスプレッソを抽出し、スチームドミルクを100cc注いだもの
②抽出後に20回ほどカップを手で持ってエスプレッソを撹拌
③カップを回すように撹拌しながら注ぐ
④エスプレッソを抽出後、10分放置してから注ぐ
⑤エスプレッソを急冷(クレマがやや減る)
⑥エスプレッソを急冷+茶こし(クレマがやや減る)
⑦スプーンで可能な限りクレマを取り除く
⑧エスプレッソを茶こしで濾す(クレマを減らさず冷却)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
〈レシピ〉ドース20g(粉)、42g抽出、23秒、スチームドミルク100g
〈使用豆〉ケニアとコスタリカのブレンド


結果
①基本の注ぎ
→コーヒー感、ミルクに勝っている、酸味がしっかり、ややドライ
②抽出後に20回ほどカップを手で持って撹拌
→甘みがある、フレーバーの余韻がある、味わいに一体感がある。
③カップを回すように撹拌しながら注ぐ
→暗い、苦味が目立つ、①よりはバランスが取れている。コーヒー感しっかり。Tea Like, Stone Fruits。
④エスプレッソを抽出後、10分放置してから注ぐ
→より酸があるがポジティブ。ドライ・渋みが改善。
⑤エスプレッソを急冷(ややクレマが減る)
→キャラメル感、トロッとした口当たり、フルーティーさが軽減
⑥エスプレッソを冷えた茶こしで濾す。(クレマを減らさず冷却)
→⑤より甘さは軽減。バランスは良い。
⑦エスプレッソを急冷+冷えた茶こし(ややクレマが減る)
→なめらか、クリーン、フルーティーさは軽減、⑤より甘さ増している、美味しい!
⑧スプーンで可能な限りクレマを取り除く
→表面が綺麗でなく口当たりが悪い、味わいが弱い

「温度が低いこと」「時間が経つ事」による要因のどちらが、カップクオリティーの向上に有意に働くのか?
④と⑤で比較した結果、どちらも違う味わいになることがわかりました。
急冷した場合は、「10分間放置して温度が下がった条件」と比べると、口当たりがトロッとなりキャラメルのような甘さを感じました。

しかし、⑤では急冷用にボールを使用したため、クレマがややツールに付着し自然とやや除去されていました。そのため⑥では冷えた茶こしで、クレマを減らさずに急冷しました。結果は、クレマを減らさずに急冷した場合はバランスは良いが甘さは減るという結果になりました。クレマの量も味わいに関係している傾向がありそうです。
もう一つの仮説として、茶こしで濾す行為がクレマの質を良くしている可能性を考え、クレマを除去+茶こしのハイブリッドメソッドで抽出をしました。結果、この⑦の条件が一番官能的に「美味しい」という満場一致の意見でした。
まとめ
抽出後にクレマを全て取り除いた場合は期待に反して、口当たり、フレーバーともにネガティブな結果となりました。
今回の検証結果の限りでは、クレマの量をコントロールすることでポジティブなコメントが多くなる傾向にありました!
温度とクレマの量のバランスがより良いカップクオリティを目指す鍵になりそうですね。
参加者の意見としては、
「②の注ぐ前にカップを回して撹拌をするメソッドが、店舗のオペレーションに現実的に組み込めそう!」
と感想をいただきました。カスタムした濃縮ラクトースフリーミルクを
検証のために持参してくださったりと、ミルクへの関心の高さがうかがえました!

