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ドリップとバッチブリュー_4.03 フィルターバスケット
4.03 フィルターバスケット 各フィルターバスケットの長所と短所(平底型、円錐型、台形型) バスケットタイプ 長所 短所 平底型カリタ 「カリタのメリットは、均一な抽出が容易な点です。」ー スコット・ラオ均一な抽出が容易です。大多数のスタッフ間で一貫性を保ち、キャリブレーションを容易に行うことができます。 ウェーブフィルターを使用することで、ペーパーの波打った部分とドリッパーの間に空気の断熱層が得られます。魔法瓶などの保温容器は、空気の熱伝導率が低いことを利用して、空気の層で熱損失を大幅に削減します。このため、平底型ドリッパーは他のデザインにはない大きなメリットがあります。 ウェーブ形状のペーパーフィルターの折り目には、コーヒーの粉が張り付きがちです。01サイズ用のウェーブフィルターの難点は、縁が波型形状のため、ペーパーフィルターの表面積が増え、スラリーの縁に逃げ道となる細孔ができることです。これにより、従来の円錐型ペーパーフィルターと比べて数千もの逃げ道が余計にできてしまいます。ウェーブの溝に張り付いたコーヒーから、過剰なチャネリングを引き起こす可能性があります。 大型平底型(バッチブリュワー)Fetco(フェトコ)Bunn(バン)Fetco(フェトコ)Marco(マルコ)Curtis(カーティス)Hipster(ヒップスター) バリスタハッスルでは、円錐型よりも平底型のほうが均一な抽出をより簡単に実現できると考えています。 ファンネルは大抵スプレーヘッドの下にあり、スラリーを手動で攪拌することはできません 。 円錐型V60Kono(コーノ)Kinto(キントー) 平底だと、コーヒーベッドを平らにするのが簡単なため、「ラオスピン」を容易に行うことができます。「[円錐型の] V60または[平底型の]Melitaドリッパーの主なメリットは、適切なサイズのドリッパーを使用すると、バリスタは蒸らし後のお湯を一度に全部、時間をかけずに加えられることです。」ー スコット・ラオ 円錐型のドリッパーは、その基底部が尖った形状をしているため、空気を長時間保持しやすい形状をしています。 リブのない円錐形Chemex(ケメックス) これにより、ドローダウン後の平らなコーヒーベッドを容易に実現できます。ガラスは、ドリッパーにリブがなく、表面が平滑な場合は特に手入れが簡単です。加えて、ガラスは比較的低い比熱を持っています。 ケメックスはウェーブフィルターには適応していません。底面の穴からすぐに抜け落ちてしまいます。ケメックス専用のペーパーフィルターは、特定の部分がガラスに吸着するようになっています。この付加摩擦により、抽出器具のくびれ部分をすり抜けるのを防ぎます。これにより、ペーパーからの液体の流出が抑えられ、抽出時間が多少長くなります。さらに、このことでガラスからより多くの熱を伝導しやすくなります。 ケメックス用のペーパーフィルターはクレープ加工されていません。おそらく、下のサーバーに落ちないようにガラス製ドリッパーの側面に吸着させるためだと推測されます。これには、細孔の数を減らすことで、抽出時間を引き伸ばす効果があります。 ペーパーフィルターは、折り畳んで使う円形フィルターのみ用意されています。ケメックス用のものは折りたたむ必要があるため、片側が3枚、反対側が1枚だけになります。 台形型Moccamaster(モカマスター)Wilfa(ウィルファ)Clever(クレバー)メリタ 私たちの経験上、このデザインではコーヒーベッドの底に空気が溜まるという問題もあまり起こりません。 台形の形状により、蒸らし中にコーヒーベッドの底を揺すって攪拌するのも容易です。よって、ペーパーフィルターが目詰まりしにくくなります。 円錐型のドリッパーは、その基底部が尖った形状をしているため、空気を長時間保持します。 これらのデザインは、ペーパーフィルターの各種汎用品と互換性がないので注意が必要です。...
ドリップとバッチブリュー_4.03 フィルターバスケット
4.03 フィルターバスケット 各フィルターバスケットの長所と短所(平底型、円錐型、台形型) バスケットタイプ 長所 短所 平底型カリタ 「カリタのメリットは、均一な抽出が容易な点です。」ー スコット・ラオ均一な抽出が容易です。大多数のスタッフ間で一貫性を保ち、キャリブレーションを容易に行うことができます。 ウェーブフィルターを使用することで、ペーパーの波打った部分とドリッパーの間に空気の断熱層が得られます。魔法瓶などの保温容器は、空気の熱伝導率が低いことを利用して、空気の層で熱損失を大幅に削減します。このため、平底型ドリッパーは他のデザインにはない大きなメリットがあります。 ウェーブ形状のペーパーフィルターの折り目には、コーヒーの粉が張り付きがちです。01サイズ用のウェーブフィルターの難点は、縁が波型形状のため、ペーパーフィルターの表面積が増え、スラリーの縁に逃げ道となる細孔ができることです。これにより、従来の円錐型ペーパーフィルターと比べて数千もの逃げ道が余計にできてしまいます。ウェーブの溝に張り付いたコーヒーから、過剰なチャネリングを引き起こす可能性があります。 大型平底型(バッチブリュワー)Fetco(フェトコ)Bunn(バン)Fetco(フェトコ)Marco(マルコ)Curtis(カーティス)Hipster(ヒップスター) バリスタハッスルでは、円錐型よりも平底型のほうが均一な抽出をより簡単に実現できると考えています。 ファンネルは大抵スプレーヘッドの下にあり、スラリーを手動で攪拌することはできません 。 円錐型V60Kono(コーノ)Kinto(キントー) 平底だと、コーヒーベッドを平らにするのが簡単なため、「ラオスピン」を容易に行うことができます。「[円錐型の] V60または[平底型の]Melitaドリッパーの主なメリットは、適切なサイズのドリッパーを使用すると、バリスタは蒸らし後のお湯を一度に全部、時間をかけずに加えられることです。」ー スコット・ラオ 円錐型のドリッパーは、その基底部が尖った形状をしているため、空気を長時間保持しやすい形状をしています。 リブのない円錐形Chemex(ケメックス) これにより、ドローダウン後の平らなコーヒーベッドを容易に実現できます。ガラスは、ドリッパーにリブがなく、表面が平滑な場合は特に手入れが簡単です。加えて、ガラスは比較的低い比熱を持っています。 ケメックスはウェーブフィルターには適応していません。底面の穴からすぐに抜け落ちてしまいます。ケメックス専用のペーパーフィルターは、特定の部分がガラスに吸着するようになっています。この付加摩擦により、抽出器具のくびれ部分をすり抜けるのを防ぎます。これにより、ペーパーからの液体の流出が抑えられ、抽出時間が多少長くなります。さらに、このことでガラスからより多くの熱を伝導しやすくなります。 ケメックス用のペーパーフィルターはクレープ加工されていません。おそらく、下のサーバーに落ちないようにガラス製ドリッパーの側面に吸着させるためだと推測されます。これには、細孔の数を減らすことで、抽出時間を引き伸ばす効果があります。 ペーパーフィルターは、折り畳んで使う円形フィルターのみ用意されています。ケメックス用のものは折りたたむ必要があるため、片側が3枚、反対側が1枚だけになります。 台形型Moccamaster(モカマスター)Wilfa(ウィルファ)Clever(クレバー)メリタ 私たちの経験上、このデザインではコーヒーベッドの底に空気が溜まるという問題もあまり起こりません。 台形の形状により、蒸らし中にコーヒーベッドの底を揺すって攪拌するのも容易です。よって、ペーパーフィルターが目詰まりしにくくなります。 円錐型のドリッパーは、その基底部が尖った形状をしているため、空気を長時間保持します。 これらのデザインは、ペーパーフィルターの各種汎用品と互換性がないので注意が必要です。...
ドリップとバッチブリュー_3.04 乱流
3.04 乱流 乱流 Coffee Brewing Handbookで、テッド・リングルは「均等な水の浸透を促し、コーヒーの成分を効率良く抽出するために、お湯が個々のコーヒー粒子を浮かせて引き離さなければならない。」と述べています。しかしながら、彼はまた、「コーヒーベッド全体に均等にお湯が行きわたるように、満遍なく穏やかにコーヒーの粉にお湯を加えなければならない」とも述べています。ですので、バッチブリュワーに応用する場合は、乱流を抑えるために、スプレーヘッド(お湯が出る場所)にはできるだけ多くの吐出口(お湯を出す穴)を設けることをお勧めしています。そうすることで、それぞれの吐出口から流入する蒸気によって生じる乱流を極力拡散することができます (スプレーヘッドについては、レッスン4.02で詳しく説明します)。水流と接触する際のコーヒーの粉の挙動を調べるために、ケトル、そしてコーヒーメーカーのスプレーヘッドの両方で、実験を行いました。これらの実験結果より、一本の水流によって生じる乱流の影響は、業界で過小評価されていると結論付けました。流量の影響を観察する最初の実験では、コーヒーの粉を非常に高いレベルまで抽出でき、 非常に高い収率になりました。また、液体へ注湯する際に、水面下で何が起こっているのか視覚的に理解を深めることができました。2番目の実験では、バッチブリュワーにセットしたペーパーフィルターの底部に、アート作品に使用される類のグリッターを散らしました。抽出工程が完了した後、コーヒーベッド全体への粒子の広がり具合を観察しました。意外にも、グリッターは、コーヒーベッドの底で封じ込められているのではなく、コーヒーベッド全体にかなり均一に分散していました。以下の動画でも見ることができますが、3番目の実験では、強力な照明と透明なV60ドリッパーを使用してスラリーを観察しました。ペーパーフィルターを使用することなく抽出できるように、V60を加工して実験を行っています。 3.04 終
ドリップとバッチブリュー_3.04 乱流
3.04 乱流 乱流 Coffee Brewing Handbookで、テッド・リングルは「均等な水の浸透を促し、コーヒーの成分を効率良く抽出するために、お湯が個々のコーヒー粒子を浮かせて引き離さなければならない。」と述べています。しかしながら、彼はまた、「コーヒーベッド全体に均等にお湯が行きわたるように、満遍なく穏やかにコーヒーの粉にお湯を加えなければならない」とも述べています。ですので、バッチブリュワーに応用する場合は、乱流を抑えるために、スプレーヘッド(お湯が出る場所)にはできるだけ多くの吐出口(お湯を出す穴)を設けることをお勧めしています。そうすることで、それぞれの吐出口から流入する蒸気によって生じる乱流を極力拡散することができます (スプレーヘッドについては、レッスン4.02で詳しく説明します)。水流と接触する際のコーヒーの粉の挙動を調べるために、ケトル、そしてコーヒーメーカーのスプレーヘッドの両方で、実験を行いました。これらの実験結果より、一本の水流によって生じる乱流の影響は、業界で過小評価されていると結論付けました。流量の影響を観察する最初の実験では、コーヒーの粉を非常に高いレベルまで抽出でき、 非常に高い収率になりました。また、液体へ注湯する際に、水面下で何が起こっているのか視覚的に理解を深めることができました。2番目の実験では、バッチブリュワーにセットしたペーパーフィルターの底部に、アート作品に使用される類のグリッターを散らしました。抽出工程が完了した後、コーヒーベッド全体への粒子の広がり具合を観察しました。意外にも、グリッターは、コーヒーベッドの底で封じ込められているのではなく、コーヒーベッド全体にかなり均一に分散していました。以下の動画でも見ることができますが、3番目の実験では、強力な照明と透明なV60ドリッパーを使用してスラリーを観察しました。ペーパーフィルターを使用することなく抽出できるように、V60を加工して実験を行っています。 3.04 終
ドリップとバッチブリュー_2.04 グラインド
2.04 グラインド グラインド 時間と挽き目の関係 「抵抗」という言葉は、抽出時間と挽き目設定の相互関係を表します。コーヒーを一切挽かずに豆のままドリップを行った場合、15秒程度でお湯がすべて落ち切るでしょう。お湯は、豆の間の大きな隙間を容易に通り抜けることができます。豆のままのコーヒーは、水の流れに対する抵抗がありません。ただし、エスプレッソマシンを使って同様の実験を行った場合(バリスタワンコースで行うように)、15秒弱ほどかかるでしょう。ドリップコーヒーでは、エスプレッソマシンのようにポンプでお湯が押し出されていないため、もう少し時間がかかります。ペーパーフィルターも少し抵抗を増やします。ペーパーフィルターの穴は直径約20μmと非常に小さいため、相当な抵抗が生じると思うかもしれません しかし、穴は無数にあいているため、その何百万もの穴の表面積を合計すると、大きめの穴の表面積と同じになります。極細に挽いたコーヒー粉を使用すると、ペーパーフィルターの目が詰まることがあります。紙の細孔は、微粒子(コーヒーの微粉)が詰まりやすい傾向があります。微粉で完全に穴が詰まってしまい、お湯が一切流れなくなることがあります。製紙業界では、この過程を沈殿と呼んでいます。このため、ドリップコーヒーを作る際には、微粉を過剰に生成するコーヒーグラインダーの使用に注意が必要です。コーヒーグラインダーはどれも相当な量の微粉を生成しますが、スパイスミルなど一部のグラインダーは、フィルターコーヒーの用途には向きません。ペーパーフィルターの20 μmの穴に完全に収まるほど小さなコーヒーの微粉の割合は、コーヒー粉の総質量の1%未満です。しかしながら、ドリップコーヒーに適した一般的なグラインドプロファイルで、コーヒーの粒子を質量ではなく数で測定した場合、100 μm超の粒子1個につき、それ以下のサイズの粒子が1億個あることが研究でわかっています。これは、細孔の数を桁違いに上回るものです。 顕微鏡によるペーパーフィルターの拡大写真 微粉の移動 コーヒーを粗く挽くほど、生成される微粉は少なくなります。これの良い例えは、大工が木の板を切断することです。大工が切り出す木片の数が多くなるほど、おがくずの出る量も多くなります。バリスタにとって、おがくずに相当するものが微粉です。すべてのコーヒーグラインダーは微粉を生成し、微粉はすべて透過の特性によって、コーヒーベッド内でより低い場所へ移動する傾向があります。エスプレッソ抽出の際に見られる微粉の移動は、透過法による抽出では大幅に減少します。それは沈積によって生じるフィルターベッドの性質によるものです。コーヒーには、自身をろ過するという独特の特徴があります。粒子は、コーヒーベッドの中でさらに下へと洗い流されないように、粒子同士ぴったりとくっつきます。この性質により、フィルターコーヒーの特徴的な透明感と滑らかな口当たりが作り出されます。 2.04 終
ドリップとバッチブリュー_2.04 グラインド
2.04 グラインド グラインド 時間と挽き目の関係 「抵抗」という言葉は、抽出時間と挽き目設定の相互関係を表します。コーヒーを一切挽かずに豆のままドリップを行った場合、15秒程度でお湯がすべて落ち切るでしょう。お湯は、豆の間の大きな隙間を容易に通り抜けることができます。豆のままのコーヒーは、水の流れに対する抵抗がありません。ただし、エスプレッソマシンを使って同様の実験を行った場合(バリスタワンコースで行うように)、15秒弱ほどかかるでしょう。ドリップコーヒーでは、エスプレッソマシンのようにポンプでお湯が押し出されていないため、もう少し時間がかかります。ペーパーフィルターも少し抵抗を増やします。ペーパーフィルターの穴は直径約20μmと非常に小さいため、相当な抵抗が生じると思うかもしれません しかし、穴は無数にあいているため、その何百万もの穴の表面積を合計すると、大きめの穴の表面積と同じになります。極細に挽いたコーヒー粉を使用すると、ペーパーフィルターの目が詰まることがあります。紙の細孔は、微粒子(コーヒーの微粉)が詰まりやすい傾向があります。微粉で完全に穴が詰まってしまい、お湯が一切流れなくなることがあります。製紙業界では、この過程を沈殿と呼んでいます。このため、ドリップコーヒーを作る際には、微粉を過剰に生成するコーヒーグラインダーの使用に注意が必要です。コーヒーグラインダーはどれも相当な量の微粉を生成しますが、スパイスミルなど一部のグラインダーは、フィルターコーヒーの用途には向きません。ペーパーフィルターの20 μmの穴に完全に収まるほど小さなコーヒーの微粉の割合は、コーヒー粉の総質量の1%未満です。しかしながら、ドリップコーヒーに適した一般的なグラインドプロファイルで、コーヒーの粒子を質量ではなく数で測定した場合、100 μm超の粒子1個につき、それ以下のサイズの粒子が1億個あることが研究でわかっています。これは、細孔の数を桁違いに上回るものです。 顕微鏡によるペーパーフィルターの拡大写真 微粉の移動 コーヒーを粗く挽くほど、生成される微粉は少なくなります。これの良い例えは、大工が木の板を切断することです。大工が切り出す木片の数が多くなるほど、おがくずの出る量も多くなります。バリスタにとって、おがくずに相当するものが微粉です。すべてのコーヒーグラインダーは微粉を生成し、微粉はすべて透過の特性によって、コーヒーベッド内でより低い場所へ移動する傾向があります。エスプレッソ抽出の際に見られる微粉の移動は、透過法による抽出では大幅に減少します。それは沈積によって生じるフィルターベッドの性質によるものです。コーヒーには、自身をろ過するという独特の特徴があります。粒子は、コーヒーベッドの中でさらに下へと洗い流されないように、粒子同士ぴったりとくっつきます。この性質により、フィルターコーヒーの特徴的な透明感と滑らかな口当たりが作り出されます。 2.04 終
ドリップとバッチブリュー_コースの内容
ドリップとバッチブリュー ~透過法の全て~ コースと修了証 サードウェーブに代表されるバリスタは、お代わり自由が当たり前だったコーヒー文化から、ハンドドリップやバッチブリューなど、コーヒーそのものの品質を楽しむフィルターコーヒーへ文化を一変させ、ワイン業界の成果に匹敵する専門分野へと変貌を遂げてきました。透過法は、最も滑らかでクリーンなコーヒーの抽出を可能にし、人々の喉の渇きを癒す素晴らしい抽出方法です。ドリップとバッチブリュー ~透過法の全て~は、重力を利用したドリップコーヒーの芸術と科学をあらゆる面から探求するコースです。 各章のコンテンツに関して ドリップとバッチブリュー ~透過法の全て~は、7つの章から構成されています。第1章では、透過の力学について学びます。またガラスやセラミック、プラスチックなどのドリッパーの素材とペーパーフィルターとの物理的な効果について説明します。また、バッチブリューとドリップコーヒーを一貫した品質で抽出するために必要な全てのステップを紹介します。 第2章では、抽出したコーヒーの液量、抽出温度のトラッキング方法、抽出時間と挽き目の実践的な設定方法について説明します。次に、第3章では、複雑な変数とされる乱流(Turbulence)、コーヒーベッドの深さ、および水流が抽出に及ぼす影響について説明します。チャネリングを防ぐために、これらの変数をコントロールする重要性を学びます。 第4章と第5章では、近年注目を集めているバッチブリュワーのプログラミングと抽出サイクルについて説明します。また、ペーパーフィルターの素材や製造工程、コーヒーマシンのライムスケールや腐食を防ぐ方法を学びます。第6章では、店舗で抽出したコーヒーを液体で保管する場合に最も有効な方法を綿密に検証します。既に確立されている理論をBH独自の実験とブラインドテイスティングを通してスペシャルティコーヒーに合わせて再検証しています。 このコースは、原価計算、衛生管理、およびワークフローに関するマネジメント戦略の考え方を持って完結します。バリスタのワークフローの効率性、並びに抽出技術を最適化し、忙しい現場でも品質を保ちつつ、作業効率をアップさせる戦略を学びます。 最終章を学び終えたら、ファイナルアセスメントへ進みます。試験問題は、ドリップとバッチブリューコースの学習成果がひと目で分かるように設計されています。また、全てのコースと修了証は、生涯アクセスでき、学びたい時にいつでも学び直すことが可能です。
ドリップとバッチブリュー_コースの内容
ドリップとバッチブリュー ~透過法の全て~ コースと修了証 サードウェーブに代表されるバリスタは、お代わり自由が当たり前だったコーヒー文化から、ハンドドリップやバッチブリューなど、コーヒーそのものの品質を楽しむフィルターコーヒーへ文化を一変させ、ワイン業界の成果に匹敵する専門分野へと変貌を遂げてきました。透過法は、最も滑らかでクリーンなコーヒーの抽出を可能にし、人々の喉の渇きを癒す素晴らしい抽出方法です。ドリップとバッチブリュー ~透過法の全て~は、重力を利用したドリップコーヒーの芸術と科学をあらゆる面から探求するコースです。 各章のコンテンツに関して ドリップとバッチブリュー ~透過法の全て~は、7つの章から構成されています。第1章では、透過の力学について学びます。またガラスやセラミック、プラスチックなどのドリッパーの素材とペーパーフィルターとの物理的な効果について説明します。また、バッチブリューとドリップコーヒーを一貫した品質で抽出するために必要な全てのステップを紹介します。 第2章では、抽出したコーヒーの液量、抽出温度のトラッキング方法、抽出時間と挽き目の実践的な設定方法について説明します。次に、第3章では、複雑な変数とされる乱流(Turbulence)、コーヒーベッドの深さ、および水流が抽出に及ぼす影響について説明します。チャネリングを防ぐために、これらの変数をコントロールする重要性を学びます。 第4章と第5章では、近年注目を集めているバッチブリュワーのプログラミングと抽出サイクルについて説明します。また、ペーパーフィルターの素材や製造工程、コーヒーマシンのライムスケールや腐食を防ぐ方法を学びます。第6章では、店舗で抽出したコーヒーを液体で保管する場合に最も有効な方法を綿密に検証します。既に確立されている理論をBH独自の実験とブラインドテイスティングを通してスペシャルティコーヒーに合わせて再検証しています。 このコースは、原価計算、衛生管理、およびワークフローに関するマネジメント戦略の考え方を持って完結します。バリスタのワークフローの効率性、並びに抽出技術を最適化し、忙しい現場でも品質を保ちつつ、作業効率をアップさせる戦略を学びます。 最終章を学び終えたら、ファイナルアセスメントへ進みます。試験問題は、ドリップとバッチブリューコースの学習成果がひと目で分かるように設計されています。また、全てのコースと修了証は、生涯アクセスでき、学びたい時にいつでも学び直すことが可能です。
WC_5.02 風味と味わい
風味と味わい サードウェーブにおけるコーヒーに使用する水の進化 2000年代前半にスペシャルティコーヒーの文化が花開き始めるなか、水がコーヒーの品質にどれほどの影響を与えているか、に関する理解が広がるまでに長い時間がかかりました。水の化学的な側面がコーヒーの品質にどのような影響を及ぼしているかについては、ある発見がスタート地点となりました。その発見とは、軟水地域のロースターの焙煎度は硬水地域のロースターに比べ深かったということです。広範に見られたこの傾向は、やがて硬水地域の緩衝能の高さが原因であると解明されました。 軟水地域では、酸味の減少につながる緩衝能の低い軟水が使われるため、カッピングでは酸味を感じやすくなります。そのため、軟水地域のロースターは自然と焙煎プロセスを通じて酸味を抑えようとします。より高温で長時間焙煎することで、酸の分解と揮発によってコーヒーの酸味は低下します。硬水を用いてカッピングをしているロースターでは、酸味を強めるためにコーヒーが浅めに焙煎される傾向がありました。硬水地域のロースターは、過剰な硬度によってフルーティーな風味が和らいでしまったことから、多くの味わいが損なわれていました。 硬水を使用するロースターは浅めの焙煎、軟水を使用するロースターは深めの焙煎という傾向を示すインフォグラフィック 近頃はスペシャルティコーヒーロースターも、海外の卸先顧客やサブスクライバー(定期購買者)に商品を発送することがよくあります。つまり、硬水地域のロースターが軟水地域のカフェに焙煎豆を販売することも(その逆も)珍しくありません。そのため、ロースターが理想とするフレーバーを再現するために、ロースターが使用する水に類似した水レシピの使用を検討することをお勧めします。 スペシャルティコーヒー業界における水のレシピは、以前と比べて遥かに標準化されてきています。しかしながら、あるロースターの水質を正確に再現するというのは、かつて考えられていたよりも更に複雑であることがわかっています。なぜなら、ミネラルの置換をせずに水中のマグネシウムイオンとカルシウムイオンのバランスを変えることが非常に難しいためです。また、マグネシウムとカルシウムはかなり異なるメカニズムでコーヒーのフレーバーに影響を及ぼしていることがわかり、この点についてはようやく研究を通して解明し始めたばかりです。 5.02 終
WC_5.02 風味と味わい
風味と味わい サードウェーブにおけるコーヒーに使用する水の進化 2000年代前半にスペシャルティコーヒーの文化が花開き始めるなか、水がコーヒーの品質にどれほどの影響を与えているか、に関する理解が広がるまでに長い時間がかかりました。水の化学的な側面がコーヒーの品質にどのような影響を及ぼしているかについては、ある発見がスタート地点となりました。その発見とは、軟水地域のロースターの焙煎度は硬水地域のロースターに比べ深かったということです。広範に見られたこの傾向は、やがて硬水地域の緩衝能の高さが原因であると解明されました。 軟水地域では、酸味の減少につながる緩衝能の低い軟水が使われるため、カッピングでは酸味を感じやすくなります。そのため、軟水地域のロースターは自然と焙煎プロセスを通じて酸味を抑えようとします。より高温で長時間焙煎することで、酸の分解と揮発によってコーヒーの酸味は低下します。硬水を用いてカッピングをしているロースターでは、酸味を強めるためにコーヒーが浅めに焙煎される傾向がありました。硬水地域のロースターは、過剰な硬度によってフルーティーな風味が和らいでしまったことから、多くの味わいが損なわれていました。 硬水を使用するロースターは浅めの焙煎、軟水を使用するロースターは深めの焙煎という傾向を示すインフォグラフィック 近頃はスペシャルティコーヒーロースターも、海外の卸先顧客やサブスクライバー(定期購買者)に商品を発送することがよくあります。つまり、硬水地域のロースターが軟水地域のカフェに焙煎豆を販売することも(その逆も)珍しくありません。そのため、ロースターが理想とするフレーバーを再現するために、ロースターが使用する水に類似した水レシピの使用を検討することをお勧めします。 スペシャルティコーヒー業界における水のレシピは、以前と比べて遥かに標準化されてきています。しかしながら、あるロースターの水質を正確に再現するというのは、かつて考えられていたよりも更に複雑であることがわかっています。なぜなら、ミネラルの置換をせずに水中のマグネシウムイオンとカルシウムイオンのバランスを変えることが非常に難しいためです。また、マグネシウムとカルシウムはかなり異なるメカニズムでコーヒーのフレーバーに影響を及ぼしていることがわかり、この点についてはようやく研究を通して解明し始めたばかりです。 5.02 終
WC_3.01 ランゲリア指数
ランゲリア指数 1936年カリフォルニア大学バークレー校のW.F.ランゲリア教授がある研究論文を発表しました。その中で彼は、水が炭酸カルシウムで飽和状態にあるときのpHを計算する新しい方法を説明しました。この飽和点はpHs(理論的pH値)として知られています。ランゲリア指数(LSI)は、今日知られているように、水サンプルの実際のpHと、炭酸カルシウムで飽和しているときのpHとの差を表します。 LSIがゼロの場合、水はバランスが取れており、石灰鱗(ライムスケール)を溶解したり析出したりすることはありません。マイナスの場合は、水が飽和しておらず、炭酸カルシウムを溶解する能力があることを示します。-2などの非常に低い値は、水が炭酸カルシウムを溶解する可能性が高いことを示しており、水がボイラーやパイプ内の腐食を引き起こす可能性が高いことが推測されます。プラスの値は、水が炭酸カルシウムで過飽和であり、石灰が析出されることを示します。例えば、読み取り値が2の場合、著しい量の石灰の堆積物(石灰鱗、ライムスケールとも)が残りやすいことを示します。 ランゲリア指数スケールの図。負の数は腐食性を示し、正の数は石灰鱗(ライムスケール)形成の可能性を示します。上記の図は-2から+2までのランゲリア指数スケール。そのスケールの両端において腐食が起こる可能性と石灰鱗(ライムスケール)が形成される可能性を示します。 ランゲリアは、飽和水で石灰鱗(ライムスケール)が形成される可能性を戦略的に活用することを思いつきました。彼のアイデアは石灰鱗(ライムスケール)をある種のテフロンのようなコーティング剤として使用することでした。1936年に発表された論文では「炭酸カルシウムは単体、もしくは錆とともに用いることにより、自己修復または自然保護力のある皮膜の形成を助ける」と述べています。 この図の緑色の範囲は、La Marzoccoの安全な水域を示しています。LSI値は0.2〜0.7です。前項のScott Guglielmino氏の推奨事項を参照した場合、LSIが0.2から0.7の範囲にある水は、石灰鱗(ライムスケール)の形成をある程度促進させるが、過度ではない安全なレベルの飽和度にあることを示しています。 LSIを計測するためには、LSIカリキュレーターが必要となります。オンラインで使用できるものもあり、Android端末を利用される方であれば、チェコ出身のバリスタJan Komarek氏によって開発された「Water Geek」と呼ばれる無料のアプリをお勧めします。この先端的な無料アプリでは月毎のボイラー内に堆積する石灰鱗(ライムスケール)をミリグラム単位で予測することができます。また、蒸気ボイラーと抽出ボイラーでの水の挙動の違いも考慮されています。蒸気ボイラー内の温度は通常約120℃で、抽出ボイラー内の温度はグループヘッドで抽出される際の設定温度と近い温度になります。他にも、優れたリソースとしてLa Marzocco社のウォーター・カリキュレーターがあります。このウェブアプリでは、La Marzocco社が考える水の安全性を管理するための最大限または最低限の推奨レベルを計算することができます。 総溶解固形分(TDS)[ppm] 90 150 総硬度[ppm] 70 100 総鉄分(Fe+2/Fe+3)[ppm] 0 0.02 遊離塩素(Cl2)[ppm] 0 0.05 全塩素(Cl2)[ppm] 0 0.1 pH 6.5...
WC_3.01 ランゲリア指数
ランゲリア指数 1936年カリフォルニア大学バークレー校のW.F.ランゲリア教授がある研究論文を発表しました。その中で彼は、水が炭酸カルシウムで飽和状態にあるときのpHを計算する新しい方法を説明しました。この飽和点はpHs(理論的pH値)として知られています。ランゲリア指数(LSI)は、今日知られているように、水サンプルの実際のpHと、炭酸カルシウムで飽和しているときのpHとの差を表します。 LSIがゼロの場合、水はバランスが取れており、石灰鱗(ライムスケール)を溶解したり析出したりすることはありません。マイナスの場合は、水が飽和しておらず、炭酸カルシウムを溶解する能力があることを示します。-2などの非常に低い値は、水が炭酸カルシウムを溶解する可能性が高いことを示しており、水がボイラーやパイプ内の腐食を引き起こす可能性が高いことが推測されます。プラスの値は、水が炭酸カルシウムで過飽和であり、石灰が析出されることを示します。例えば、読み取り値が2の場合、著しい量の石灰の堆積物(石灰鱗、ライムスケールとも)が残りやすいことを示します。 ランゲリア指数スケールの図。負の数は腐食性を示し、正の数は石灰鱗(ライムスケール)形成の可能性を示します。上記の図は-2から+2までのランゲリア指数スケール。そのスケールの両端において腐食が起こる可能性と石灰鱗(ライムスケール)が形成される可能性を示します。 ランゲリアは、飽和水で石灰鱗(ライムスケール)が形成される可能性を戦略的に活用することを思いつきました。彼のアイデアは石灰鱗(ライムスケール)をある種のテフロンのようなコーティング剤として使用することでした。1936年に発表された論文では「炭酸カルシウムは単体、もしくは錆とともに用いることにより、自己修復または自然保護力のある皮膜の形成を助ける」と述べています。 この図の緑色の範囲は、La Marzoccoの安全な水域を示しています。LSI値は0.2〜0.7です。前項のScott Guglielmino氏の推奨事項を参照した場合、LSIが0.2から0.7の範囲にある水は、石灰鱗(ライムスケール)の形成をある程度促進させるが、過度ではない安全なレベルの飽和度にあることを示しています。 LSIを計測するためには、LSIカリキュレーターが必要となります。オンラインで使用できるものもあり、Android端末を利用される方であれば、チェコ出身のバリスタJan Komarek氏によって開発された「Water Geek」と呼ばれる無料のアプリをお勧めします。この先端的な無料アプリでは月毎のボイラー内に堆積する石灰鱗(ライムスケール)をミリグラム単位で予測することができます。また、蒸気ボイラーと抽出ボイラーでの水の挙動の違いも考慮されています。蒸気ボイラー内の温度は通常約120℃で、抽出ボイラー内の温度はグループヘッドで抽出される際の設定温度と近い温度になります。他にも、優れたリソースとしてLa Marzocco社のウォーター・カリキュレーターがあります。このウェブアプリでは、La Marzocco社が考える水の安全性を管理するための最大限または最低限の推奨レベルを計算することができます。 総溶解固形分(TDS)[ppm] 90 150 総硬度[ppm] 70 100 総鉄分(Fe+2/Fe+3)[ppm] 0 0.02 遊離塩素(Cl2)[ppm] 0 0.05 全塩素(Cl2)[ppm] 0 0.1 pH 6.5...