無料プレビュー

RS_0.01 本コースについて

RS 0.01 本コースについて ロースティング・サイエンスの受講、ありがとうございます。このコースは焙煎プロセス中に生じている現象を、分子レベルまで詳しく知りたいプロのロースターの為に開設されました。本コースでは豆に伝わる熱力学や、多くのフレーバーを生み出す焙煎時の化学反応など、焙煎の科学について解説していきます。焙煎機メーカーが直面する技術上の課題や、その課題を解決するために彼らが取った様々なアプローチについても紹介しています。最終的にはご自身の焙煎スタイルを微調整する際に、このコース内で得られる知識をどのように活用できるかを説明しています。 最新の焙煎機は、ガス圧、エアフロー、ドラムスピードなど、焙煎に影響を与える要素を細かくコントロールできます。焙煎プロセスの各段階で起こる化学反応と物理的性質を理解することで、焙煎を最大限にコントロールできるようになります。出版されている本の中には、基本的な焙煎プロセスやフレーバーを良くするための焙煎プロファイルの調整方法が説明されています。本コースではこういった本が一般的に説明を省いている内容(フレーバーをもたらす化学反応やそのフレーバーをコントロールする方法、焙煎の様々な段階での熱伝達の物理学など)も取り上げます。焙煎はクラフトワークであり、アートであり、科学でもあります。近年の研究によりコーヒーにおける化学反応の秘密の多くが明らかになってきています。焙煎機の技術はより発達し、データロギング・ソフトウェアは、大規模な焙煎業者だけでなく、マイクロロースターにとってもなくてはならないものになりました。ですが、科学に基づいた知識やツールがあれば自動的に美味しいコーヒーが出来上がるという訳ではありません。コーヒーを追求するためにこれらをどう活かすかはロースター次第です。本コースはロースターが引き出したい味わいを際立たせるためにも役立つように構成されています。 0.00 終

RS_0.01 本コースについて

RS 0.01 本コースについて ロースティング・サイエンスの受講、ありがとうございます。このコースは焙煎プロセス中に生じている現象を、分子レベルまで詳しく知りたいプロのロースターの為に開設されました。本コースでは豆に伝わる熱力学や、多くのフレーバーを生み出す焙煎時の化学反応など、焙煎の科学について解説していきます。焙煎機メーカーが直面する技術上の課題や、その課題を解決するために彼らが取った様々なアプローチについても紹介しています。最終的にはご自身の焙煎スタイルを微調整する際に、このコース内で得られる知識をどのように活用できるかを説明しています。 最新の焙煎機は、ガス圧、エアフロー、ドラムスピードなど、焙煎に影響を与える要素を細かくコントロールできます。焙煎プロセスの各段階で起こる化学反応と物理的性質を理解することで、焙煎を最大限にコントロールできるようになります。出版されている本の中には、基本的な焙煎プロセスやフレーバーを良くするための焙煎プロファイルの調整方法が説明されています。本コースではこういった本が一般的に説明を省いている内容(フレーバーをもたらす化学反応やそのフレーバーをコントロールする方法、焙煎の様々な段階での熱伝達の物理学など)も取り上げます。焙煎はクラフトワークであり、アートであり、科学でもあります。近年の研究によりコーヒーにおける化学反応の秘密の多くが明らかになってきています。焙煎機の技術はより発達し、データロギング・ソフトウェアは、大規模な焙煎業者だけでなく、マイクロロースターにとってもなくてはならないものになりました。ですが、科学に基づいた知識やツールがあれば自動的に美味しいコーヒーが出来上がるという訳ではありません。コーヒーを追求するためにこれらをどう活かすかはロースター次第です。本コースはロースターが引き出したい味わいを際立たせるためにも役立つように構成されています。 0.00 終

T_5.03 複合的な影響

T 5.03 複合的な影響 「アラビカ種の持続可能性は、気候変動、生態系の衰退、遺伝的多様性の低さという3つの複合的な影響によって脅かされています。エチオピアでは気候変動の影響がすでに確認されており、最近ではこの地域で以前見ることのなかったラ・ブロカなどの害虫が気候に適応できるようになっています(A Davis、2013)。ワールドコーヒーリサーチ (WCR) のハンナ・ノイシュワンダー氏は、コーヒー栽培における1日の平均気温のリミットは 32°C であり、ザンビアではすでにこのレベルに達していると語っています。コーヒーとカカオの農法はどちらもアグロフォレストリーに非常に適していると考えられています。ですが、どちらの産業でもこれまでに多くの地域で激しい環境破壊を経験してきました。コーヒーとカカオの栽培に影響を与えたここ数十年間の環境破壊を合わせると、世界中で生じた 3,000 万ヘクタールの森林破壊に相当します。この広さはベトナムとほぼ同じ面積に相当します。この森林破壊は、地球規模の炭素排出量の大幅な増加の直接的な要因です。これは、木材チップ化や植生が焼かれたことによる破壊により、植物内に隔離(捕捉)されていた炭素が破壊されたと同時にほぼ即座に放出されたためです。アラビカ種の問題をさらに複雑にするもう1つの要素は、アラビカ種は世界で最も遺伝的な多様性の低い農作物の1つであることです (Wolrd Coffee Research)。コーヒーの遺伝子型と植物育種の論題は、バリスタハッスルで将来リリース予定のコースのテーマとなるため、こちらについてはあまり深く取り上げません。ですが、エチオピアの外ではアラビカ種が限られていることをご存じない方のために、コーヒー分類学の第一人者であるアーロン・デイビス博士が 2013年のノルディック・ロースターズ・フォーラムで行った講演内容をお届けします。デイビス博士は、この10年間科学的に知られていなかったいくつかのコーヒー品種の発見に貢献しました。ここで彼は、コーヒーの品種の生存に影響を与える複合的な影響と、植物育種プログラムが将来どのように他の品種の生殖質に依存する可能性があるかについて説明しています。耐乾性などの特性を活かして、丈夫で味も良い改良されたアラビカ種のハイブリッドを育てることができそうです。彼自身の言葉を借りれば、アラビカ種を除く124種類のコーヒー品種のほとんどは「絶対的に不味い」ため、簡単なことではないかもしれません (A Davis、2013)。   5.03 終

T_5.03 複合的な影響

T 5.03 複合的な影響 「アラビカ種の持続可能性は、気候変動、生態系の衰退、遺伝的多様性の低さという3つの複合的な影響によって脅かされています。エチオピアでは気候変動の影響がすでに確認されており、最近ではこの地域で以前見ることのなかったラ・ブロカなどの害虫が気候に適応できるようになっています(A Davis、2013)。ワールドコーヒーリサーチ (WCR) のハンナ・ノイシュワンダー氏は、コーヒー栽培における1日の平均気温のリミットは 32°C であり、ザンビアではすでにこのレベルに達していると語っています。コーヒーとカカオの農法はどちらもアグロフォレストリーに非常に適していると考えられています。ですが、どちらの産業でもこれまでに多くの地域で激しい環境破壊を経験してきました。コーヒーとカカオの栽培に影響を与えたここ数十年間の環境破壊を合わせると、世界中で生じた 3,000 万ヘクタールの森林破壊に相当します。この広さはベトナムとほぼ同じ面積に相当します。この森林破壊は、地球規模の炭素排出量の大幅な増加の直接的な要因です。これは、木材チップ化や植生が焼かれたことによる破壊により、植物内に隔離(捕捉)されていた炭素が破壊されたと同時にほぼ即座に放出されたためです。アラビカ種の問題をさらに複雑にするもう1つの要素は、アラビカ種は世界で最も遺伝的な多様性の低い農作物の1つであることです (Wolrd Coffee Research)。コーヒーの遺伝子型と植物育種の論題は、バリスタハッスルで将来リリース予定のコースのテーマとなるため、こちらについてはあまり深く取り上げません。ですが、エチオピアの外ではアラビカ種が限られていることをご存じない方のために、コーヒー分類学の第一人者であるアーロン・デイビス博士が 2013年のノルディック・ロースターズ・フォーラムで行った講演内容をお届けします。デイビス博士は、この10年間科学的に知られていなかったいくつかのコーヒー品種の発見に貢献しました。ここで彼は、コーヒーの品種の生存に影響を与える複合的な影響と、植物育種プログラムが将来どのように他の品種の生殖質に依存する可能性があるかについて説明しています。耐乾性などの特性を活かして、丈夫で味も良い改良されたアラビカ種のハイブリッドを育てることができそうです。彼自身の言葉を借りれば、アラビカ種を除く124種類のコーヒー品種のほとんどは「絶対的に不味い」ため、簡単なことではないかもしれません (A Davis、2013)。   5.03 終

T_4.03 コーヒーベリー病

T4.03 コーヒーベリー病 1番上の画像はコーヒーベリー病にかかったコーヒーチェリー。上から2番目の画像は、倍率5,500 倍の電子顕微鏡画像です。出典: M. Waller、M. Bigger、R. J. Hillocks、2007 コーヒーベリー病 (CBD) は炭疽菌によって引き起こされます。この病気はコーヒー植物のすべての過程(花や熟した果実、場合によっては葉まで)に感染しますが、一番深刻な被害は5週間から20週間の未熟なコーヒーチェリーの感染から起こります(M. N. Clifford、1985)。感染したチェリーには黒い病斑が現れます。病変はアセルブリから胞子を放出し始め、その中心に小さな花が咲きます。 CBDは熟す前に果実を落下させるため、処置が施されない場合には70~80%の作物の損失を引き起こします (Waller, 1985; Silva et al., 2006)。Silvaら(2006)によると、 1922年にケニアにてこの病気の最初の報告がありました。現時点では、この病気はアフリカに限定されています。南米や中米へのこの病気の感染を避ける試みがあり、ブラジルなどでは厳しい規制が行われ、ロースターがアフリカから生豆を輸入することを禁止しています。 感染はどのように起こるのか CBD菌はベリーの皮から直接侵入します。葉のさび病の菌糸と同様に、CBDの菌糸は細胞壁に伸び、その後細胞膜を通過します。この細菌は最初は果実の細胞と共生しますが、その後酵素の放出によって侵入した細胞を殺し、死んだ組織を食べて生き続けます。 5日以内に植物組織が枯れていく目に見える兆候が現れ、濃いオリーブ色に変わります。 耐性のための繁殖 植物育種家は、CBD耐性品種の開発を試みてきました。ロブスタ種は完全に耐性があるようですが、アラビカ種のコーヒーの遺伝子型で CBD に完全に耐性があることは示されていません。スーダン・ルーメと、いくつかのロブスタ遺伝子を持つティモール・ハイブリッドの子孫は、ほとんどのCBD株に対して高レベルの耐性を示しました(Vossen & Walyaro、1980)。 SL28やSL34...

T_4.03 コーヒーベリー病

T4.03 コーヒーベリー病 1番上の画像はコーヒーベリー病にかかったコーヒーチェリー。上から2番目の画像は、倍率5,500 倍の電子顕微鏡画像です。出典: M. Waller、M. Bigger、R. J. Hillocks、2007 コーヒーベリー病 (CBD) は炭疽菌によって引き起こされます。この病気はコーヒー植物のすべての過程(花や熟した果実、場合によっては葉まで)に感染しますが、一番深刻な被害は5週間から20週間の未熟なコーヒーチェリーの感染から起こります(M. N. Clifford、1985)。感染したチェリーには黒い病斑が現れます。病変はアセルブリから胞子を放出し始め、その中心に小さな花が咲きます。 CBDは熟す前に果実を落下させるため、処置が施されない場合には70~80%の作物の損失を引き起こします (Waller, 1985; Silva et al., 2006)。Silvaら(2006)によると、 1922年にケニアにてこの病気の最初の報告がありました。現時点では、この病気はアフリカに限定されています。南米や中米へのこの病気の感染を避ける試みがあり、ブラジルなどでは厳しい規制が行われ、ロースターがアフリカから生豆を輸入することを禁止しています。 感染はどのように起こるのか CBD菌はベリーの皮から直接侵入します。葉のさび病の菌糸と同様に、CBDの菌糸は細胞壁に伸び、その後細胞膜を通過します。この細菌は最初は果実の細胞と共生しますが、その後酵素の放出によって侵入した細胞を殺し、死んだ組織を食べて生き続けます。 5日以内に植物組織が枯れていく目に見える兆候が現れ、濃いオリーブ色に変わります。 耐性のための繁殖 植物育種家は、CBD耐性品種の開発を試みてきました。ロブスタ種は完全に耐性があるようですが、アラビカ種のコーヒーの遺伝子型で CBD に完全に耐性があることは示されていません。スーダン・ルーメと、いくつかのロブスタ遺伝子を持つティモール・ハイブリッドの子孫は、ほとんどのCBD株に対して高レベルの耐性を示しました(Vossen & Walyaro、1980)。 SL28やSL34...

PC_1.03 成熟度

PC 1.03 成熟度 多くの果物は、代謝によってエチレンと呼ばれるホルモンの放出が生じた後に熟します。このタイプの植物はクリマクテリック型果実として知られています(M.Knee、2002年、267ページ)。アボカド、バナナ、トマトなどのクリマクテリック型の果物の生産で用いられる一般的な方法は、完全に熟す前に収穫することです。このため市場に到着してから完全に熟した状態に達するまでに少し時間がかかり、場合によっては数週間かかります。対照的に柑橘類やイチゴなどの非クリマクテリック型果実は木から収穫された後それ以上熟しません。 コーヒーチェリーが熟すと、次のような化学変化が起こります。 クロロフィルの分解 色素の合成(カロチノイド、アントシアニンなど) フェノール化合物の減少(渋みの減少) 熟した果物の香りの原因となるエステル、アルデヒド、ケトン、アルコールなどの揮発性化合物の増加 写真: 木になった状態で熟すコーヒーチェリー L.F.P.Pereira他(2005)による研究では、コーヒーがクリマクテリック果物であることを示唆しています。ですが、バナナやアボカドの生産者とは異なり、コーヒー生産者には比較的ゆっくりと熟成させる余裕がありません。バナナは通常75%ほど熟したら収穫されます。対して、完全に熟したコーヒーチェリーを収穫した場合のみコーヒーのフレーバーが最適になります。問題は、コーヒーにはクライマクテリックの性質があるため、「完全に熟した」コーヒーでもわずか数時間で熟しすぎてしまい、豆がすぐに発酵の風味を帯びることがあるということです。コーヒーの収穫後すぐにプロセスのフェーズを始めることが必須になります。 Wintgens (2004、719 ページ) は、プロセスのフェーズを開始するまでの時間制限を20時間と厳しく設定しています。 コーヒー豆は比較的重い種子で、赤や黄色の甘い果実に熟し、鳥や動物によって自然に広まります。コーヒー豆が非常に大きな胚乳、つまりエネルギーを蓄える種子を持っていることは有益です。この特性は、アラビカコーヒーの発祥地であるエチオピアと南スーダンの日陰の熱帯林でコーヒーの苗木が生き残るための十分な栄養素を確保するのに役立ちました。コーヒー種子には、いわゆる「シンク強度」も備わっています。これは、非常に少ないエネルギーを使用して、種子の胚乳に多くの炭素を隔離することを意味します。 (K.C. Willson、1985 年。129 ページ) アラビカコーヒーの果実の成長。グラフ 1、2: 乾燥した果実の重量の平均増加。グラフ 3: 果実の平均体積。グラフ参照a = ピンヘッドのフェーズ、b = 急速な拡大と果皮の成長、c = 豆 (胚乳) の形成、d = 豆の乾物蓄積、e = 果実の成熟。 1.03終

PC_1.03 成熟度

PC 1.03 成熟度 多くの果物は、代謝によってエチレンと呼ばれるホルモンの放出が生じた後に熟します。このタイプの植物はクリマクテリック型果実として知られています(M.Knee、2002年、267ページ)。アボカド、バナナ、トマトなどのクリマクテリック型の果物の生産で用いられる一般的な方法は、完全に熟す前に収穫することです。このため市場に到着してから完全に熟した状態に達するまでに少し時間がかかり、場合によっては数週間かかります。対照的に柑橘類やイチゴなどの非クリマクテリック型果実は木から収穫された後それ以上熟しません。 コーヒーチェリーが熟すと、次のような化学変化が起こります。 クロロフィルの分解 色素の合成(カロチノイド、アントシアニンなど) フェノール化合物の減少(渋みの減少) 熟した果物の香りの原因となるエステル、アルデヒド、ケトン、アルコールなどの揮発性化合物の増加 写真: 木になった状態で熟すコーヒーチェリー L.F.P.Pereira他(2005)による研究では、コーヒーがクリマクテリック果物であることを示唆しています。ですが、バナナやアボカドの生産者とは異なり、コーヒー生産者には比較的ゆっくりと熟成させる余裕がありません。バナナは通常75%ほど熟したら収穫されます。対して、完全に熟したコーヒーチェリーを収穫した場合のみコーヒーのフレーバーが最適になります。問題は、コーヒーにはクライマクテリックの性質があるため、「完全に熟した」コーヒーでもわずか数時間で熟しすぎてしまい、豆がすぐに発酵の風味を帯びることがあるということです。コーヒーの収穫後すぐにプロセスのフェーズを始めることが必須になります。 Wintgens (2004、719 ページ) は、プロセスのフェーズを開始するまでの時間制限を20時間と厳しく設定しています。 コーヒー豆は比較的重い種子で、赤や黄色の甘い果実に熟し、鳥や動物によって自然に広まります。コーヒー豆が非常に大きな胚乳、つまりエネルギーを蓄える種子を持っていることは有益です。この特性は、アラビカコーヒーの発祥地であるエチオピアと南スーダンの日陰の熱帯林でコーヒーの苗木が生き残るための十分な栄養素を確保するのに役立ちました。コーヒー種子には、いわゆる「シンク強度」も備わっています。これは、非常に少ないエネルギーを使用して、種子の胚乳に多くの炭素を隔離することを意味します。 (K.C. Willson、1985 年。129 ページ) アラビカコーヒーの果実の成長。グラフ 1、2: 乾燥した果実の重量の平均増加。グラフ 3: 果実の平均体積。グラフ参照a = ピンヘッドのフェーズ、b = 急速な拡大と果皮の成長、c = 豆 (胚乳) の形成、d = 豆の乾物蓄積、e = 果実の成熟。 1.03終

バリスタワン_7.03 洗浄

エスプレッソマシンの洗浄 エスプレッソマシンの洗浄を習慣化する エスプレッソマシンを1時間ほど使い続けるとコーヒーの油分やカスが蓄積して、エスプレッソの風味にも影響が出始めます。そのため、少なくとも1時間に1回はマシンを洗浄するようにしましょう。コーヒーのカスなどが最も溜まりやすい場所はポルタフィルターです。ポルタフィルターは30分ごとに(フィルターバスケットを取り外して)内側も乾いたダスターで拭く必要があります。 次に優先順位が高い作業はグループヘッドの洗浄です。抽出が終わった直後に圧を逃がすためエスプレッソが逆流します。シャワーフィルターの裏にある排気弁(別名:電磁弁)は抽出が終わるたびに開いて圧力を解放し、抽出が始まると再び閉じます。この周辺に溜まる油分やカスを取り除いて清潔に保つためには、1時間ごとにバックフラッシュを行う必要があります。1つのグループでコーヒーを抽出しながら、同時に別のグループでバックフラッシュを行っても問題ありません。グループ同士は互いに繋がっていないため、洗浄剤を使ったとしても安全です。 バックフラッシュの手順 この動画では、バリスタハッスルが推奨するエスプレッソマシンの洗浄手順を解説しています。 1時間ごと                             ・シャワーフィルターとガスケット周辺の汚れを取り除きます。・ブラインドフィルター(掃除用フィルター)をホルダーにはめます。・ハンドル部を握ったまま緩くポルタフィルターを装着した状態で、2~3秒間フィルターの周りをお湯であふれさせ、ハンドルを動かしながらすすぎます。・ブラインドフィルターを取り付けたポルタフィルターをグループヘッドに装着します。・5秒間のバックフラッシュを5秒間隔で5回以上繰り返します。 シフト中に2回:ランチタイム後のアイドルタイムとラストオーダー後に・専用の洗浄剤を小さじ4分の1程度ブラインドフィルターに入れ、上記の手順に倣います。・バックフラッシュを繰り返し行う際は、シャワーフィルターが正しく装着されているか確認してください。洗浄剤や大きな粉によって排気弁(別名:電磁弁)が詰まることを防ぐためです。・洗浄剤を使って5秒間のバックフラッシュを10回行います。・洗浄剤の臭いがなくなるまでブラインドフィルターでよくすすぎます。・お湯だけで更に10回バックフラッシュを繰り返します。 洗浄剤の適切な使用方法エスプレッソマシンの洗浄剤は様々なアルカリ性の化学物質から作られています。これらの化学物質には腐食性があり、特にアルミニウムに対して顕著に作用します。洗浄剤の過度な使用は避け、パッケージに記載された使用方法を守りましょう。洗剤が肌に触れないよう気を付け、万が一肌に触れたらすぐに水で洗い流してください。ポルタフィルター、フィルターバスケット、シャワースクリーンなどの部品を洗浄液に浸すグループヘッドやポルタフィルターなど取り外しが出来る部品は、毎日15分間洗浄液に浸して手入れします。ただしポルタフィルターのハンドル部は洗浄液に浸さないように注意してください。洗浄液に浸すことでポルタフィルターの底部やスパウト内部から効果的に汚れを洗い落せます。毎日夕方頃に実施して、各部品を水でよくすすぎます。洗浄剤を入れる水温が高いほどエスプレッソマシンの洗浄剤が効果的に働きます。真鍮vsステンレス過去10年間で、エスプレッソマシンの取り外しが出来る部品の多くは、真鍮(ブラス)製からステンレス製に変わってきています。ポルタフィルターなどの材質としては、どちらにも長所と短所がありますが、真鍮の方が洗浄がとても難しいとされています。時間が経つと真鍮には濃い色ムラが生じます。以前は研磨材で汚れを擦り落としてきましたが、今ではこの方法はお勧めできません。擦り落とす代わりに、すべての真鍮製の部品を欠かさず洗浄剤入りの熱いお湯に15分間浸すよう心がけましょう。グラインダーの清掃この動画では、グラインダーの日々の清掃手順を解説しています。  

バリスタワン_7.03 洗浄

エスプレッソマシンの洗浄 エスプレッソマシンの洗浄を習慣化する エスプレッソマシンを1時間ほど使い続けるとコーヒーの油分やカスが蓄積して、エスプレッソの風味にも影響が出始めます。そのため、少なくとも1時間に1回はマシンを洗浄するようにしましょう。コーヒーのカスなどが最も溜まりやすい場所はポルタフィルターです。ポルタフィルターは30分ごとに(フィルターバスケットを取り外して)内側も乾いたダスターで拭く必要があります。 次に優先順位が高い作業はグループヘッドの洗浄です。抽出が終わった直後に圧を逃がすためエスプレッソが逆流します。シャワーフィルターの裏にある排気弁(別名:電磁弁)は抽出が終わるたびに開いて圧力を解放し、抽出が始まると再び閉じます。この周辺に溜まる油分やカスを取り除いて清潔に保つためには、1時間ごとにバックフラッシュを行う必要があります。1つのグループでコーヒーを抽出しながら、同時に別のグループでバックフラッシュを行っても問題ありません。グループ同士は互いに繋がっていないため、洗浄剤を使ったとしても安全です。 バックフラッシュの手順 この動画では、バリスタハッスルが推奨するエスプレッソマシンの洗浄手順を解説しています。 1時間ごと                             ・シャワーフィルターとガスケット周辺の汚れを取り除きます。・ブラインドフィルター(掃除用フィルター)をホルダーにはめます。・ハンドル部を握ったまま緩くポルタフィルターを装着した状態で、2~3秒間フィルターの周りをお湯であふれさせ、ハンドルを動かしながらすすぎます。・ブラインドフィルターを取り付けたポルタフィルターをグループヘッドに装着します。・5秒間のバックフラッシュを5秒間隔で5回以上繰り返します。 シフト中に2回:ランチタイム後のアイドルタイムとラストオーダー後に・専用の洗浄剤を小さじ4分の1程度ブラインドフィルターに入れ、上記の手順に倣います。・バックフラッシュを繰り返し行う際は、シャワーフィルターが正しく装着されているか確認してください。洗浄剤や大きな粉によって排気弁(別名:電磁弁)が詰まることを防ぐためです。・洗浄剤を使って5秒間のバックフラッシュを10回行います。・洗浄剤の臭いがなくなるまでブラインドフィルターでよくすすぎます。・お湯だけで更に10回バックフラッシュを繰り返します。 洗浄剤の適切な使用方法エスプレッソマシンの洗浄剤は様々なアルカリ性の化学物質から作られています。これらの化学物質には腐食性があり、特にアルミニウムに対して顕著に作用します。洗浄剤の過度な使用は避け、パッケージに記載された使用方法を守りましょう。洗剤が肌に触れないよう気を付け、万が一肌に触れたらすぐに水で洗い流してください。ポルタフィルター、フィルターバスケット、シャワースクリーンなどの部品を洗浄液に浸すグループヘッドやポルタフィルターなど取り外しが出来る部品は、毎日15分間洗浄液に浸して手入れします。ただしポルタフィルターのハンドル部は洗浄液に浸さないように注意してください。洗浄液に浸すことでポルタフィルターの底部やスパウト内部から効果的に汚れを洗い落せます。毎日夕方頃に実施して、各部品を水でよくすすぎます。洗浄剤を入れる水温が高いほどエスプレッソマシンの洗浄剤が効果的に働きます。真鍮vsステンレス過去10年間で、エスプレッソマシンの取り外しが出来る部品の多くは、真鍮(ブラス)製からステンレス製に変わってきています。ポルタフィルターなどの材質としては、どちらにも長所と短所がありますが、真鍮の方が洗浄がとても難しいとされています。時間が経つと真鍮には濃い色ムラが生じます。以前は研磨材で汚れを擦り落としてきましたが、今ではこの方法はお勧めできません。擦り落とす代わりに、すべての真鍮製の部品を欠かさず洗浄剤入りの熱いお湯に15分間浸すよう心がけましょう。グラインダーの清掃この動画では、グラインダーの日々の清掃手順を解説しています。  

バリスタワン_4.03 目標温度

目標温度 目標温度と温度計の使用 牛乳は長期間安全に飲めるように殺菌されていますが、衛生面に関する法律は国によって異なります。たとえば、バリスタハッスルの本拠地であるオーストラリアでは、連邦法により乳業メーカーは生乳を72℃以上で15秒間の加熱処理をするよう義務付けられています。ちなみに生乳をスチーミング工程で殺菌処理しようとすると、コーヒーショップのメニューに使用される牛乳の加熱温度を遥かに超えてしまいます。70℃を超えると舌をやけどしてしまうので、店舗においては55℃〜60℃が適正な提供温度帯となります。この2つの異なる観点から考える牛乳の加熱温度帯の違いは、スチーミングに関わる全ての工程において、徹底した衛生管理が不可欠であることを意味しています。つまりスチーミング工程だけでは、細菌を完全に殺菌できる温度まで加熱できませんので、乳業メーカーによって加熱殺菌処理された牛乳を使用する方法が現実的です。何れにせよ、牛乳に菌や異物が二次混入しないよう細心の注意を払って牛乳を取り扱いましょう。 (注)日本においては、食品衛生法の「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」により、「保持式により摂氏63度で30 分間加熱殺菌するか、又はこれと同等以上の殺菌効果を有する方法で加熱殺菌すること」と規定されています。 また提供温度を高めにしてほしい、と言うお客様も少なくないため、牛乳を熱めにスチームする時の温度基準を予め決めておくことが重要です。その際にはデジタル温度計があると便利でしょう。しかしデジタル温度計は、実際の温度を表示するまでに僅かに時差が生じるので、スチームバルブを閉める時には、実際の温度が表示温度よりも2~3℃高いということを考慮した上で使用してください。 カウンティング(手のひらや指を使って温度を感知する方法) 繰り返しスチーミングを練習すると、手のひらや指で目標温度を感知できるようになります。提供温度に達したことを手のひらや指で感知したら、そこから更に3~4秒間スチーミングして、ピッチャーが熱くて触れられない温度まで温めます。スチームする牛乳の量が多いほど、加熱には時間がかかります。 実は手のひらや指は、口よりも高温帯に敏感です。目標とする温度を手のひらや指で感知できるよう訓練するためにも、精度の高い温度計を使用して練習を繰り返しましょう。   動画:デジタル温度計の使用方法と、スチームを終えてからも温度が上がる様子。熱め(65℃)にスチームする際には、当該温度に到達するまでに要した時間も把握した方が良い。 ダスターを色分けして衛生管理を徹底する 下記は常備しておきたいダスターを、5つの用途に分けてリストアップしたものです。それぞれの用途に合わせて色分けしておくと非常に便利です。 1.ポルタフィルターとフィルターバスケットの拭き上げ用。このダスターは常に乾いた状態にし、グラインダーの近くに置くようにします。2.ドリップトレイ用。(カップの底の汚れを防ぐため)このダスターは基本的に常にドリップトレイの上に置いておきます。3.スチームワンド用。スチームワンドを拭くダスターが汚れていると菌の繁殖や異物混入の原因になります。保健所が指定する検査項目次第ではありますが、このダスターを誤って使用しないよう、色分けをした方が良いでしょう。また、スチームワンド用のダスターはマシンの上に置いてはいけません。あらゆる異物混入を防ぐため、このダスター専用のトレイを用意してください。4.作業台用。作業スペースが汚れてしまった時にはこのダスターで拭きます。5.カップ用。カップやソーサーに、汚れが付着している状態のまま提供しないようにしましょう。カップやソーサーの汚れを拭き取る専用のダスターを用意してください。スチームワンド用のダスターと兼用してはいけません。 色分けされたダスターが正しく配置された様子

バリスタワン_4.03 目標温度

目標温度 目標温度と温度計の使用 牛乳は長期間安全に飲めるように殺菌されていますが、衛生面に関する法律は国によって異なります。たとえば、バリスタハッスルの本拠地であるオーストラリアでは、連邦法により乳業メーカーは生乳を72℃以上で15秒間の加熱処理をするよう義務付けられています。ちなみに生乳をスチーミング工程で殺菌処理しようとすると、コーヒーショップのメニューに使用される牛乳の加熱温度を遥かに超えてしまいます。70℃を超えると舌をやけどしてしまうので、店舗においては55℃〜60℃が適正な提供温度帯となります。この2つの異なる観点から考える牛乳の加熱温度帯の違いは、スチーミングに関わる全ての工程において、徹底した衛生管理が不可欠であることを意味しています。つまりスチーミング工程だけでは、細菌を完全に殺菌できる温度まで加熱できませんので、乳業メーカーによって加熱殺菌処理された牛乳を使用する方法が現実的です。何れにせよ、牛乳に菌や異物が二次混入しないよう細心の注意を払って牛乳を取り扱いましょう。 (注)日本においては、食品衛生法の「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」により、「保持式により摂氏63度で30 分間加熱殺菌するか、又はこれと同等以上の殺菌効果を有する方法で加熱殺菌すること」と規定されています。 また提供温度を高めにしてほしい、と言うお客様も少なくないため、牛乳を熱めにスチームする時の温度基準を予め決めておくことが重要です。その際にはデジタル温度計があると便利でしょう。しかしデジタル温度計は、実際の温度を表示するまでに僅かに時差が生じるので、スチームバルブを閉める時には、実際の温度が表示温度よりも2~3℃高いということを考慮した上で使用してください。 カウンティング(手のひらや指を使って温度を感知する方法) 繰り返しスチーミングを練習すると、手のひらや指で目標温度を感知できるようになります。提供温度に達したことを手のひらや指で感知したら、そこから更に3~4秒間スチーミングして、ピッチャーが熱くて触れられない温度まで温めます。スチームする牛乳の量が多いほど、加熱には時間がかかります。 実は手のひらや指は、口よりも高温帯に敏感です。目標とする温度を手のひらや指で感知できるよう訓練するためにも、精度の高い温度計を使用して練習を繰り返しましょう。   動画:デジタル温度計の使用方法と、スチームを終えてからも温度が上がる様子。熱め(65℃)にスチームする際には、当該温度に到達するまでに要した時間も把握した方が良い。 ダスターを色分けして衛生管理を徹底する 下記は常備しておきたいダスターを、5つの用途に分けてリストアップしたものです。それぞれの用途に合わせて色分けしておくと非常に便利です。 1.ポルタフィルターとフィルターバスケットの拭き上げ用。このダスターは常に乾いた状態にし、グラインダーの近くに置くようにします。2.ドリップトレイ用。(カップの底の汚れを防ぐため)このダスターは基本的に常にドリップトレイの上に置いておきます。3.スチームワンド用。スチームワンドを拭くダスターが汚れていると菌の繁殖や異物混入の原因になります。保健所が指定する検査項目次第ではありますが、このダスターを誤って使用しないよう、色分けをした方が良いでしょう。また、スチームワンド用のダスターはマシンの上に置いてはいけません。あらゆる異物混入を防ぐため、このダスター専用のトレイを用意してください。4.作業台用。作業スペースが汚れてしまった時にはこのダスターで拭きます。5.カップ用。カップやソーサーに、汚れが付着している状態のまま提供しないようにしましょう。カップやソーサーの汚れを拭き取る専用のダスターを用意してください。スチームワンド用のダスターと兼用してはいけません。 色分けされたダスターが正しく配置された様子