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CQC_5.01 カップ・オブ・エクセレンス
CQC 5.01 カップ・オブ・エクセレンス 水カップ・オブ・エクセレンス(COE)は、1999年に創設され、現在ではコーヒー生産国13ヵ国になくてはならない主要な生産者向け品評会となっています。スペシャルティコーヒーのPRを目的とした国際コーヒー機関のイニシアチブが発端となり始まったこの品評会は、ジョージ・ハウエルとスージー・スピンドラーの両氏が設立したアライアンス・フォー・コーヒー・エクセレンスにより運営されています。その独創的なスコアシートは米国のコーヒー焙煎業者ジョージ・ハウエル氏の考案によるものです。カッププロファイルを8項目に分類し、総計100点のCOEスコアリングシステムは、スペシャルティコーヒーの品質評価を初めて数値化した画期的な方式です。 各項目には0~8点のスコアが割り当てられ、8項目合計の最高得点は64点になりますが、最終的な総計は100点満点です。総計100点満点になるように基礎点36点が合計に加算されます。COEの最もユニークな特徴は、甘さの項目を設け、甘さの質が0~8点で評価されることです。COEでは甘さを成熟した感覚を想起させる、望ましいものとして定義しています。 こちらのリンクから2002年カップ・オブ・エクセレンス時にハウエル氏が作成したCOEプロトコルをダウンロードできます。 Stephen Leighton氏インタビュー スコアシートの背景にある論理について理解を深めるため、元COEセンサリーパネリストの焙煎士スティーブン・レイトン氏に話を聞きました。スティーブンはイギリスのスタッフォードを拠点とするHas Bean coffeeの創設者であり、スウェーデンのストックホルムにあるDrop Coffeeの共同経営者でもあります。彼はこれまでにカップ・オブ・エクセレンスに入賞したコーヒーを数多く購入しています。 動画:CQC501 スティーブン・レイトン氏に聞くCOE 5.01 終
CQC_5.01 カップ・オブ・エクセレンス
CQC 5.01 カップ・オブ・エクセレンス 水カップ・オブ・エクセレンス(COE)は、1999年に創設され、現在ではコーヒー生産国13ヵ国になくてはならない主要な生産者向け品評会となっています。スペシャルティコーヒーのPRを目的とした国際コーヒー機関のイニシアチブが発端となり始まったこの品評会は、ジョージ・ハウエルとスージー・スピンドラーの両氏が設立したアライアンス・フォー・コーヒー・エクセレンスにより運営されています。その独創的なスコアシートは米国のコーヒー焙煎業者ジョージ・ハウエル氏の考案によるものです。カッププロファイルを8項目に分類し、総計100点のCOEスコアリングシステムは、スペシャルティコーヒーの品質評価を初めて数値化した画期的な方式です。 各項目には0~8点のスコアが割り当てられ、8項目合計の最高得点は64点になりますが、最終的な総計は100点満点です。総計100点満点になるように基礎点36点が合計に加算されます。COEの最もユニークな特徴は、甘さの項目を設け、甘さの質が0~8点で評価されることです。COEでは甘さを成熟した感覚を想起させる、望ましいものとして定義しています。 こちらのリンクから2002年カップ・オブ・エクセレンス時にハウエル氏が作成したCOEプロトコルをダウンロードできます。 Stephen Leighton氏インタビュー スコアシートの背景にある論理について理解を深めるため、元COEセンサリーパネリストの焙煎士スティーブン・レイトン氏に話を聞きました。スティーブンはイギリスのスタッフォードを拠点とするHas Bean coffeeの創設者であり、スウェーデンのストックホルムにあるDrop Coffeeの共同経営者でもあります。彼はこれまでにカップ・オブ・エクセレンスに入賞したコーヒーを数多く購入しています。 動画:CQC501 スティーブン・レイトン氏に聞くCOE 5.01 終
CQC_4.03 フレーバーの定義 続き
CQC 4.03 フレーバーの定義 続き 酸味 「酸味」の評価は、酸味の強度、酸味の質、またはその両方について行います。SCAとCOEどちらのフォームでも「強度」には数値によるスコアリングが求められますが、「酸味」には酸の質的な評価が求められます。COEプロトコルによれば、ネガティブな酸味は「きつい」「鋭い」、ポジティブな酸味は「洗練された」「きりっとした」などと表現されます。SCA方式では、新鮮なフルーツを想起させるポジティブな酸味には「明るい」「鮮やかな」、ネガティブな酸味には「酸っぱい」が提示されています。 SCAフォームでは、酸の強度が産地ごとの期待に沿うことも求められます。つまり、酸度の高いケニア産と酸度の低いスマトラ産では、酸の質において同じスコアを獲得することもあるでしょうが、その逆は起こりにくいということです。 酢酸は、コーヒーに含まれる他の有機酸と異なり、酸味だけではなくアロマにも影響を及ぼします。このため、酢酸の濃度が高すぎるとカップ全体に大きくネガティブな影響を与える可能性があります。しかし、少量の酢酸であれば、総体的にポジティブな酸味のプロファイルとなることが予想されます。 コーヒーのpHと口にしたときの酸味の印象に密接な関連はありません。知覚される酸味を左右するのは、液体の滴定酸度、つまりアルカリに対する緩衡作用の大きさです(N.Z. Rao and M. Fuller, 2018)。 SCAによると、酸味、ボディ、バランスは約60〜70°Cのときに評価します。 苦味 コーヒーの苦味は、部分的にはその苦味の強度、そしておそらく苦味を生み出す原因である化学物質の違いにより、ポジティブにもネガティブにも知覚されます。ポジティブな苦味と言えば、トニックウォーターに含まれるキナ酸のように、飲料の酸味と甘さをテコとして心地よい体験に変わる苦味の感覚です。また、ネガティブな苦味の一例はアスピリンやキニーネ(マラリアの特効薬)などの薬に見られますが、これらは希釈しないと相当な不快感をもたらします。 コーヒーの苦味の一因にカフェインがよく挙げられますが、カフェインレスコーヒーにも苦味はあります。カップの苦味の原因となる主要成分は、キナ酸ラクトン(キニド)やフェニルインダンとして知られるクロロゲン酸の分解物です。キナ酸ラクトンは「中煎りコーヒーの苦味成分の核」であり、コーヒーに求められる心地よい苦味に貢献します(ホフマン, 2009)。 キナ酸ラクトンをコーヒー抽出液から限外濾過によって分離させ、大きな分子から徐々に抽出液から分離していったところ、抽出液のどの部分が最も強い苦味を持つかが決まりました(フランク他、2005)。 コーヒーを焙煎するとクロロゲン酸が分解し、キナ酸とコーヒー酸を形成します。更にコーヒーを深煎りするとコーヒー酸が分解し、フェニルインダンを形成します。コーヒー酸は加熱により4-ビニルカテコール分子に分解し、この分子が2、3個結合するとフェニルインダン(ビニルカテコールオリゴマー)という分子の重合体になるのです。この化合物は、単独で「エスプレッソ系のコーヒー」を彷彿とさせる後を引くきつい苦味を持ち(フランク他、2007)、深煎りコーヒーの苦味の増加の一因としてと考えられています。元のクロロゲン酸よりゆっくりと抽出されるキナ酸ラクトンよりも、フェニルインダンは更に格段にゆっくりと抽出されます。このことは、抽出をコントロールすることで、これらの強い苦味成分がどれだけ抽出液に含まれるかを調節できることを示唆します(ブルームバーグ他、 2010) 。 甘さ 甘さは厳密に言えば味覚ですが、コーヒーに知覚される甘さはすべて味覚によるものとは限りません。焙煎したコーヒーには糖がほとんど残っておらず、舌で感じ取るには少なすぎるため、甘さの感覚は他に起因すると考えられます。糖以外にも甘味を持つ化合物はありますが、甘さの感覚のほとんどはキャラメルのように甘く香るアロマから来ると言えるでしょう。 ただし、直接味わうには低すぎる濃度であっても、甘い味のする分子は他の味覚に対する私たちの反応を調整し、苦味や酸味の不快な感覚を軽減する役割を果たします。 COEフォームには、「甘さとは、焙煎したコーヒーに含まれる糖の量のみならず、甘さの印象を与える他の成分の組み合わせにも依拠する」と規定されています。この問題についてリングルは、「甘さとは、明白な甘さに加え、フレーバーの心地よい豊かさを指す」とやや曖昧に述べています。 おそらくこの広義の甘さの定義ゆえに、SCAフォームは甘さの強度や質のスコアを割り当てず、単に甘さの有無をカッパーが記録できるようにしています。しかしながら、COEを含む他の格付けシステムのほとんどが、甘さの強度と質に同等に配点したスコアリングを採用しています。 SCAは、コーヒーが約40°Cの低温のときに甘さを評価するべきと述べています。 4.03 終
CQC_4.03 フレーバーの定義 続き
CQC 4.03 フレーバーの定義 続き 酸味 「酸味」の評価は、酸味の強度、酸味の質、またはその両方について行います。SCAとCOEどちらのフォームでも「強度」には数値によるスコアリングが求められますが、「酸味」には酸の質的な評価が求められます。COEプロトコルによれば、ネガティブな酸味は「きつい」「鋭い」、ポジティブな酸味は「洗練された」「きりっとした」などと表現されます。SCA方式では、新鮮なフルーツを想起させるポジティブな酸味には「明るい」「鮮やかな」、ネガティブな酸味には「酸っぱい」が提示されています。 SCAフォームでは、酸の強度が産地ごとの期待に沿うことも求められます。つまり、酸度の高いケニア産と酸度の低いスマトラ産では、酸の質において同じスコアを獲得することもあるでしょうが、その逆は起こりにくいということです。 酢酸は、コーヒーに含まれる他の有機酸と異なり、酸味だけではなくアロマにも影響を及ぼします。このため、酢酸の濃度が高すぎるとカップ全体に大きくネガティブな影響を与える可能性があります。しかし、少量の酢酸であれば、総体的にポジティブな酸味のプロファイルとなることが予想されます。 コーヒーのpHと口にしたときの酸味の印象に密接な関連はありません。知覚される酸味を左右するのは、液体の滴定酸度、つまりアルカリに対する緩衡作用の大きさです(N.Z. Rao and M. Fuller, 2018)。 SCAによると、酸味、ボディ、バランスは約60〜70°Cのときに評価します。 苦味 コーヒーの苦味は、部分的にはその苦味の強度、そしておそらく苦味を生み出す原因である化学物質の違いにより、ポジティブにもネガティブにも知覚されます。ポジティブな苦味と言えば、トニックウォーターに含まれるキナ酸のように、飲料の酸味と甘さをテコとして心地よい体験に変わる苦味の感覚です。また、ネガティブな苦味の一例はアスピリンやキニーネ(マラリアの特効薬)などの薬に見られますが、これらは希釈しないと相当な不快感をもたらします。 コーヒーの苦味の一因にカフェインがよく挙げられますが、カフェインレスコーヒーにも苦味はあります。カップの苦味の原因となる主要成分は、キナ酸ラクトン(キニド)やフェニルインダンとして知られるクロロゲン酸の分解物です。キナ酸ラクトンは「中煎りコーヒーの苦味成分の核」であり、コーヒーに求められる心地よい苦味に貢献します(ホフマン, 2009)。 キナ酸ラクトンをコーヒー抽出液から限外濾過によって分離させ、大きな分子から徐々に抽出液から分離していったところ、抽出液のどの部分が最も強い苦味を持つかが決まりました(フランク他、2005)。 コーヒーを焙煎するとクロロゲン酸が分解し、キナ酸とコーヒー酸を形成します。更にコーヒーを深煎りするとコーヒー酸が分解し、フェニルインダンを形成します。コーヒー酸は加熱により4-ビニルカテコール分子に分解し、この分子が2、3個結合するとフェニルインダン(ビニルカテコールオリゴマー)という分子の重合体になるのです。この化合物は、単独で「エスプレッソ系のコーヒー」を彷彿とさせる後を引くきつい苦味を持ち(フランク他、2007)、深煎りコーヒーの苦味の増加の一因としてと考えられています。元のクロロゲン酸よりゆっくりと抽出されるキナ酸ラクトンよりも、フェニルインダンは更に格段にゆっくりと抽出されます。このことは、抽出をコントロールすることで、これらの強い苦味成分がどれだけ抽出液に含まれるかを調節できることを示唆します(ブルームバーグ他、 2010) 。 甘さ 甘さは厳密に言えば味覚ですが、コーヒーに知覚される甘さはすべて味覚によるものとは限りません。焙煎したコーヒーには糖がほとんど残っておらず、舌で感じ取るには少なすぎるため、甘さの感覚は他に起因すると考えられます。糖以外にも甘味を持つ化合物はありますが、甘さの感覚のほとんどはキャラメルのように甘く香るアロマから来ると言えるでしょう。 ただし、直接味わうには低すぎる濃度であっても、甘い味のする分子は他の味覚に対する私たちの反応を調整し、苦味や酸味の不快な感覚を軽減する役割を果たします。 COEフォームには、「甘さとは、焙煎したコーヒーに含まれる糖の量のみならず、甘さの印象を与える他の成分の組み合わせにも依拠する」と規定されています。この問題についてリングルは、「甘さとは、明白な甘さに加え、フレーバーの心地よい豊かさを指す」とやや曖昧に述べています。 おそらくこの広義の甘さの定義ゆえに、SCAフォームは甘さの強度や質のスコアを割り当てず、単に甘さの有無をカッパーが記録できるようにしています。しかしながら、COEを含む他の格付けシステムのほとんどが、甘さの強度と質に同等に配点したスコアリングを採用しています。 SCAは、コーヒーが約40°Cの低温のときに甘さを評価するべきと述べています。 4.03 終
CQC_3.03 カッピングを始めるタイミング
CQC3.03 カッピングを始めるタイミング タイミングと温度 テキサス大学のブラウンとディラーの研究(2016)では、火傷を避けるためにはドリンクを71°C未満に冷ましてから提供しなくてはいけないと報告しています。同じように、SCAカッピングプロトコルは、カッパーが感覚評価を始める前にサンプルの温度を71°C未満に冷ますことを規定に定めています。一方、BHのカッピングプロトコルでは、コーヒーの温度が安全な71°C未満に下がってからアロマの評価を開始し、更に65°Cまで下がるのを待ち、カッピングを開始することを推奨しています。 ここで、第2章で説明した実験を思い出してください。重さ約300gまでのセラミック製カッピングボウルは、他の素材のボウルを使った場合に比べ、熱を奪うのが速いことがわかりました。この実験では、スラリーの温度(コーヒー粉10gと湯180gを使用)を記録したところ、わずか4:30分後に70°Cを下回りました。一方、バリスタハッスルの43gのプラスチック製カッピングボウルでは、スラリーの温度が70°Cを下回るまでに9分もかかりました。このため、最初のサンプルのカッピングを開始する前に、舌に火傷を負わないよう温度を計ることをBHでは奨励します。 各サンプルの味について完全に把握するには、広範囲の温度帯でカッピングを行い、温度が下がるにつれてフレーバーがどう変化するかを観察することが不可欠です。ただし、40°Cまで冷めるのを待つには時間がかかり過ぎて実用に向かないので、次の3つの温度で感覚的な印象を記録することをお勧めします。 1段階目、高温— 65°C:熱いが味わえる温度 2段階目、適温— 55°C:飲みやすい温度 3段階目、暖かい— 45°C:コーヒーの温度。45°ではまだアロマがあるが、この温度を下回ると冷めすぎているとみなされる最低ライン この3段階の評価システムでは、次の段階へ進むまでに約5分の猶予があるため、その間にスコアリングを完了させます。仮にテーブルに10杯のサンプルが用意されているとすれば、各カップのスコアリングには約30秒の時間があることになります。このシステムでは最初のカッピングボウルにお湯を注いでから25分以内に最終スコアを付け終わるので、たいへん効率的です。 温度と味の生理学 舌には約8,000の味蕾があり、それぞれの味蕾には50〜150の味覚受容体細胞が存在します(ブリタニカ)。つまり、人がもつ味覚受容体細胞(TR)は数十万にも及ぶのです。温度が上がると甘味の感じ方が強くなるのは、TR細胞の一種であるTRPM5によるものです。この味覚受容体細胞の発現でよく知られているのは、室温のアイスクリームやソフトドリンクを味わった時と比較して、氷点下付近の温度で同じ食べ物や飲み物を味わうときに感じる体験でしょう。(低温の温度帯でバランスの取れた味の飲み物や食べ物は、高い温度帯で提供されると過度に甘い味がする可能性があります。) しかし、コーヒーの温度が高ければ高いほど、甘味が強く感じられるわけではありません。ショ糖(スクロース)、ブドウ糖(グルコース)、果糖(フルクトース)、麦芽糖(マルトース)への応答は、温度が35°Cから39°Cのときに最大に達し、これよりも低温や高温になると次第に弱まることがルーらによる研究(2016)で報告されています。さらに、甘味料の濃度が高いときよりも低いときの方が、甘味の増加をより明確に感じられます。生豆に含まれる糖の99%が焙煎過程で分解されることを考慮すれば、この研究報告は生豆以上に焙煎後のコーヒーに関連していると言えるでしょう(フラマン, 2002)。 3.03 終
CQC_3.03 カッピングを始めるタイミング
CQC3.03 カッピングを始めるタイミング タイミングと温度 テキサス大学のブラウンとディラーの研究(2016)では、火傷を避けるためにはドリンクを71°C未満に冷ましてから提供しなくてはいけないと報告しています。同じように、SCAカッピングプロトコルは、カッパーが感覚評価を始める前にサンプルの温度を71°C未満に冷ますことを規定に定めています。一方、BHのカッピングプロトコルでは、コーヒーの温度が安全な71°C未満に下がってからアロマの評価を開始し、更に65°Cまで下がるのを待ち、カッピングを開始することを推奨しています。 ここで、第2章で説明した実験を思い出してください。重さ約300gまでのセラミック製カッピングボウルは、他の素材のボウルを使った場合に比べ、熱を奪うのが速いことがわかりました。この実験では、スラリーの温度(コーヒー粉10gと湯180gを使用)を記録したところ、わずか4:30分後に70°Cを下回りました。一方、バリスタハッスルの43gのプラスチック製カッピングボウルでは、スラリーの温度が70°Cを下回るまでに9分もかかりました。このため、最初のサンプルのカッピングを開始する前に、舌に火傷を負わないよう温度を計ることをBHでは奨励します。 各サンプルの味について完全に把握するには、広範囲の温度帯でカッピングを行い、温度が下がるにつれてフレーバーがどう変化するかを観察することが不可欠です。ただし、40°Cまで冷めるのを待つには時間がかかり過ぎて実用に向かないので、次の3つの温度で感覚的な印象を記録することをお勧めします。 1段階目、高温— 65°C:熱いが味わえる温度 2段階目、適温— 55°C:飲みやすい温度 3段階目、暖かい— 45°C:コーヒーの温度。45°ではまだアロマがあるが、この温度を下回ると冷めすぎているとみなされる最低ライン この3段階の評価システムでは、次の段階へ進むまでに約5分の猶予があるため、その間にスコアリングを完了させます。仮にテーブルに10杯のサンプルが用意されているとすれば、各カップのスコアリングには約30秒の時間があることになります。このシステムでは最初のカッピングボウルにお湯を注いでから25分以内に最終スコアを付け終わるので、たいへん効率的です。 温度と味の生理学 舌には約8,000の味蕾があり、それぞれの味蕾には50〜150の味覚受容体細胞が存在します(ブリタニカ)。つまり、人がもつ味覚受容体細胞(TR)は数十万にも及ぶのです。温度が上がると甘味の感じ方が強くなるのは、TR細胞の一種であるTRPM5によるものです。この味覚受容体細胞の発現でよく知られているのは、室温のアイスクリームやソフトドリンクを味わった時と比較して、氷点下付近の温度で同じ食べ物や飲み物を味わうときに感じる体験でしょう。(低温の温度帯でバランスの取れた味の飲み物や食べ物は、高い温度帯で提供されると過度に甘い味がする可能性があります。) しかし、コーヒーの温度が高ければ高いほど、甘味が強く感じられるわけではありません。ショ糖(スクロース)、ブドウ糖(グルコース)、果糖(フルクトース)、麦芽糖(マルトース)への応答は、温度が35°Cから39°Cのときに最大に達し、これよりも低温や高温になると次第に弱まることがルーらによる研究(2016)で報告されています。さらに、甘味料の濃度が高いときよりも低いときの方が、甘味の増加をより明確に感じられます。生豆に含まれる糖の99%が焙煎過程で分解されることを考慮すれば、この研究報告は生豆以上に焙煎後のコーヒーに関連していると言えるでしょう(フラマン, 2002)。 3.03 終
CQC_2.06 クラストのブレイクとグロリア・ペドロサ氏へのインタビュー
CQC 2.06 クラストのブレイクとグロリア・ペドロサ氏へのインタビュー 動画:クラストのブレイク 浸漬式や透過式のコーヒー抽出をする際、お湯に触れたコーヒーの粉は、スラリーの上部にクラストを形成する傾向があります。クラストは気泡とコーヒーの粉、水でできた層で、断熱層のような役割を果たします。クラストは一般的に、3〜5分間置いたのちカッパーが「クラストのブレイク」を行います。上の動画で紹介しているように、カッパーがクラストの上部をカッピングスプーンで押し出すようにブレイクする方法が一般的です。 しかし、BHではクラストのブレイクの際、カッピングボウルの底まで攪拌する方法を用います。カッピングボウルの一番下まで、カッピングスプーンで最低でも4回攪拌する方法をおすすめしています。 クラストの層は、焙煎がより深いサンプルの方が厚くなります。ダークローストのコーヒーのCO2含有量(豆全体の乾燥重量の約2%)はライトローストの約4倍で、ライトローストが形成するCO2量は豆全体のわずか0.5%です(SCA)。細かな粒子よりも大きな粒子の方が、焙煎時のガスを多く含んでいるため、クラストとして浮かび上がってくる可能性が高くなります。多くの場合、お湯を入れてから3〜5分経過してからクラストをブレイクする方法が一般的です。しかし、たとえば片方のカップは3分間抽出して、もう片方は5分間抽出したとすると、長時間放置したカップの方が、収率がはるかに高くなってしまう可能性があるので、注意が必要です。 攪拌による乱流 この実験では、複数回攪拌したカッピングボウルと、全く攪拌しなかったカッピングボウルの収率を、通常通り4回攪拌した場合と比較しました。攪拌回数はよく議論の的になりますし、攪拌方法に関しては、今後さまざまなに方法に出会うはずなので、検証内容を文献にまとめています。この検証のミッションは、カッピング時に、異なるタイミングでクラストをブレイクしたり、異なる方法でブレイクする影響を解明することです。加えて、そこまで注意を払うに値するプロセスであるかどうかも調べました。 動画:クラストブレイキング–底まで攪拌する スキミング カッピング手順の中で最後のプロセスであるスキミングは、最新の注意が必要なステップです。クラストをブレイクしたのち、コーヒーの粉ほぼすべてがボウルの底に沈んだら、ボウルの表面に残った薄い泡の層を取り除く作業があります。この層になった気泡はエスプレッソのクレマに似ていて、そのほとんどは数分以内に消えてしまいます。しかし、この上澄みに含まれる微量の油分や不溶解性粒子の除去のため、層自体を取り除くことが重要なのです。これをスキミングと言い、不溶解性の粒子のカップへの混入を防ぎます。 グロリア・ペドロサ氏へのインタビュー グロリア・ペドロサ氏はスイスのNKG(Neumann Kaffee Gruppe)クオリティ・サービスにてクオリティ・アドバイサリー・ユニットの責任者をしています。彼女は毎年、コンテナ何百個分ものコーヒー豆の購買責任を一人で担っています。グロリアは2006年のワールド・カップテイスターズ・チャンピオンシップの優勝者です。さらにQグレーダーの資格を持ち、ワールド・バリスタ・チャンピンシップのヘッドジャッジでもあります。 BH –カッピングの抽出に使用するお湯の温度は何度が最適だと思いますか。 GP –お湯を沸かす標高によりますが、沸騰した温度から5〜6度低い温度です。熱すぎると不快なフレーバーが出てしまい、逆に低すぎるとアロマが未抽出になってしまいます。w、93℃が最適です。 BH –クラストをブレイクする方法を教えてください。クラストをブレイクする際は、ボウルの底をかき混ぜるように攪拌することを推奨していますか。推奨する場合、何回攪拌するか教えてください。 GP –クラストをブレイクする方法はカッパーによってやり方が異なります。もしカップの底まで攪拌したら乱流が増えて、抽出が進行しがちです。重要なのは、クラストをブレイクする際の手順がしっかりとチームで定義されていて、誰がやっても同じであるということです。私たちは、注湯の4分後にクラストの表面を優しく3回攪拌してブレイクしています。 BH –カッピングボウルは予熱しておきますか。 GP –いいえ、しません。 BH –各サンプルを複数個用意することは、どれほど重要なのでしょうか。(普段はサンプルに対して何個ずつカップを用意していますか。) GP –サンプルを最低でも各5カップ以上取る理由は、統計的な確率と関係があります。生豆は自然で栽培された植物であるため、ディフェクトが全くないことを保証することはできません。テイスティングしたカップ数が多ければ多いほど、そのコーヒーにディフェクトがないという確信が高まるか、もしくは、ディフェクトによる不快なフレーバーをもたらすリスクを見極められます。さらに、品質に均一性があるかどうかを確認できます。 BH –カッピングの挽き目を決めるために導入している方法はありますか。 GP –挽き目に関しては、すべての種類のコーヒーに共通して1つのスタンダードしかなく、SCAのカッピングのスタンダードを採用しています。メンテナンススケジュールもあるので、毎月グラインダーの挽き目設定に問題がないか確認し、必要に応じて調整を行なっています。 BH –カッピングに使用するグライダーの刃を変えるタイミングは、どのように判断しますか。 GP –弊社のグラインダーは高い処理能力があり何年も持つので、5〜7年経過したら刃の交換が必要になると考えています。 グウィリム・デイビス(Gwilym Davies)とのカッピング...
CQC_2.06 クラストのブレイクとグロリア・ペドロサ氏へのインタビュー
CQC 2.06 クラストのブレイクとグロリア・ペドロサ氏へのインタビュー 動画:クラストのブレイク 浸漬式や透過式のコーヒー抽出をする際、お湯に触れたコーヒーの粉は、スラリーの上部にクラストを形成する傾向があります。クラストは気泡とコーヒーの粉、水でできた層で、断熱層のような役割を果たします。クラストは一般的に、3〜5分間置いたのちカッパーが「クラストのブレイク」を行います。上の動画で紹介しているように、カッパーがクラストの上部をカッピングスプーンで押し出すようにブレイクする方法が一般的です。 しかし、BHではクラストのブレイクの際、カッピングボウルの底まで攪拌する方法を用います。カッピングボウルの一番下まで、カッピングスプーンで最低でも4回攪拌する方法をおすすめしています。 クラストの層は、焙煎がより深いサンプルの方が厚くなります。ダークローストのコーヒーのCO2含有量(豆全体の乾燥重量の約2%)はライトローストの約4倍で、ライトローストが形成するCO2量は豆全体のわずか0.5%です(SCA)。細かな粒子よりも大きな粒子の方が、焙煎時のガスを多く含んでいるため、クラストとして浮かび上がってくる可能性が高くなります。多くの場合、お湯を入れてから3〜5分経過してからクラストをブレイクする方法が一般的です。しかし、たとえば片方のカップは3分間抽出して、もう片方は5分間抽出したとすると、長時間放置したカップの方が、収率がはるかに高くなってしまう可能性があるので、注意が必要です。 攪拌による乱流 この実験では、複数回攪拌したカッピングボウルと、全く攪拌しなかったカッピングボウルの収率を、通常通り4回攪拌した場合と比較しました。攪拌回数はよく議論の的になりますし、攪拌方法に関しては、今後さまざまなに方法に出会うはずなので、検証内容を文献にまとめています。この検証のミッションは、カッピング時に、異なるタイミングでクラストをブレイクしたり、異なる方法でブレイクする影響を解明することです。加えて、そこまで注意を払うに値するプロセスであるかどうかも調べました。 動画:クラストブレイキング–底まで攪拌する スキミング カッピング手順の中で最後のプロセスであるスキミングは、最新の注意が必要なステップです。クラストをブレイクしたのち、コーヒーの粉ほぼすべてがボウルの底に沈んだら、ボウルの表面に残った薄い泡の層を取り除く作業があります。この層になった気泡はエスプレッソのクレマに似ていて、そのほとんどは数分以内に消えてしまいます。しかし、この上澄みに含まれる微量の油分や不溶解性粒子の除去のため、層自体を取り除くことが重要なのです。これをスキミングと言い、不溶解性の粒子のカップへの混入を防ぎます。 グロリア・ペドロサ氏へのインタビュー グロリア・ペドロサ氏はスイスのNKG(Neumann Kaffee Gruppe)クオリティ・サービスにてクオリティ・アドバイサリー・ユニットの責任者をしています。彼女は毎年、コンテナ何百個分ものコーヒー豆の購買責任を一人で担っています。グロリアは2006年のワールド・カップテイスターズ・チャンピオンシップの優勝者です。さらにQグレーダーの資格を持ち、ワールド・バリスタ・チャンピンシップのヘッドジャッジでもあります。 BH –カッピングの抽出に使用するお湯の温度は何度が最適だと思いますか。 GP –お湯を沸かす標高によりますが、沸騰した温度から5〜6度低い温度です。熱すぎると不快なフレーバーが出てしまい、逆に低すぎるとアロマが未抽出になってしまいます。w、93℃が最適です。 BH –クラストをブレイクする方法を教えてください。クラストをブレイクする際は、ボウルの底をかき混ぜるように攪拌することを推奨していますか。推奨する場合、何回攪拌するか教えてください。 GP –クラストをブレイクする方法はカッパーによってやり方が異なります。もしカップの底まで攪拌したら乱流が増えて、抽出が進行しがちです。重要なのは、クラストをブレイクする際の手順がしっかりとチームで定義されていて、誰がやっても同じであるということです。私たちは、注湯の4分後にクラストの表面を優しく3回攪拌してブレイクしています。 BH –カッピングボウルは予熱しておきますか。 GP –いいえ、しません。 BH –各サンプルを複数個用意することは、どれほど重要なのでしょうか。(普段はサンプルに対して何個ずつカップを用意していますか。) GP –サンプルを最低でも各5カップ以上取る理由は、統計的な確率と関係があります。生豆は自然で栽培された植物であるため、ディフェクトが全くないことを保証することはできません。テイスティングしたカップ数が多ければ多いほど、そのコーヒーにディフェクトがないという確信が高まるか、もしくは、ディフェクトによる不快なフレーバーをもたらすリスクを見極められます。さらに、品質に均一性があるかどうかを確認できます。 BH –カッピングの挽き目を決めるために導入している方法はありますか。 GP –挽き目に関しては、すべての種類のコーヒーに共通して1つのスタンダードしかなく、SCAのカッピングのスタンダードを採用しています。メンテナンススケジュールもあるので、毎月グラインダーの挽き目設定に問題がないか確認し、必要に応じて調整を行なっています。 BH –カッピングに使用するグライダーの刃を変えるタイミングは、どのように判断しますか。 GP –弊社のグラインダーは高い処理能力があり何年も持つので、5〜7年経過したら刃の交換が必要になると考えています。 グウィリム・デイビス(Gwilym Davies)とのカッピング...
CQC_1.02 クエーカー
CQC 1.02 クエーカー コーヒーの実は開花後、約35週間で成長します(キャネル、1985年)。コーヒーチェリーが緑から赤(場合によってはピンク、黄色、オレンジ)に変色したタイミングが、成熟したサインです。色の変化は果皮(皮)からクロロフィルが失われたことにより起こり、豆が成熟するにつれてフラボノイド色素に置き換えられていきます(ロペス他(1984年)、クリフォード&カズィ(1987年))。 クエーカーはピーナッツやグラッシー(草っぽい青臭さ)、または藁のような不快な風味をもたらします。「スペシャルティグレード」を名乗るコーヒー豆でも、販売用の豆袋1袋あたり最低でも1粒はクエーカーが混在しています。多くのグレーディングシステムにおいて、クエーカー5粒が黒豆1粒に値すると定めています。スペシャルティコーヒー協会(SCA)では、スペシャルティグレードのコーヒーはクエーカーが5粒以下でなければならないと規定しています。 BHの教育部門の責任者、ジェム・チャレンダーが市販のコーヒー豆を使用して、通常の豆とクエーカーをブラインドカッピングしている様子の動画です。 生豆に含まれるクエーカーは、精製と選定の工程で減らせそうですが、ブラジルのプランテーションで広く使用されている色選別機では、効果的にクエーカーを取り除けません。その理由は、欠点豆の色の変化がはっきりと確認できるのは焙煎後だからです。そのため、焙煎後に色選別機を使用するのも、クエーカーの量を減らすアプローチ方法の一つです。 未熟豆の化学的性質 健康に育った高品質のコーヒー豆と比較して、未熟豆は水分活性が低く、ショ糖、タンパク質、オイルの含有量などの主たる前駆体が不足しています(A Sフランカ他、2005年)。マッツァフェラ(1999年)の表では、未熟豆、成熟豆、さらに未成熟かつ黒豆に含まれるショ糖の相対量が示されています。 PVは未熟な黒豆を、Vはその他の欠点がない未熟豆を、Bは欠点のない成熟豆を示しています。出典:P.マッツァフェラ、1999年 カフェイン含有量に関しては、科学論文を比較しても一貫性は見えません。1999年にP.マッツァフェラが行なったブラジルのナチュラルプロセスのコーヒーを使用したガスクロマトグラフィーテストでは、異なる種類の欠点豆(黒豆、酸化した豆、未熟豆でテストを実施)でも、カフェイン量がほとんど変わらないという結果が得られました(P.マッツァフェラ、1999)。2005年のA Sフランカらによる研究では、同時に収穫した豆でも、未成熟豆よりも成熟豆の方がカフェイン含有量は大幅に低いという結果が出ました。1987年にクリフォードとカズィが行なった研究では、コーヒーに含まれる苦味のある化学物質、カフェインとトリゴネリンの欠点豆における量は、「わずかな差で重要なものではない」と考察されています。 成熟豆とクエーカーを比較した時に感じる不快な風味の説明として最も有力なものは、大幅なクロロゲン酸(CGA)の量の違いであるように見受けられます。とりわけ、クリフォードとカズィの1987年の研究では、成熟期の最後の5週間に、CGAの2つの部分群であるカフェオイルキナ酸(CQA)とジカフェオイルキナ酸(diCQA)との間に大きな比率の変化が見られました。この二つの部分群は生豆の総CQA含有量の85%を占めています(A Sフランカ、L. オリヴェイラ、2008年)。 メネゼスは1994年に、ブラジル産のアラビカ種の品種であるカトゥアイで実験を行い、収穫時に未熟豆と成熟豆を機械的に振り分けました。その結果、成熟途中の果実のCQAとdiCQAの比率が低いほど、コーヒーの風味が悪くなるという結論に至りました。 開花後数週間観察した様子。コーヒーチェリーのクロロゲン酸、カフェインおよびトリゴネリンは、コーヒーチェリーの成長とともに蓄積されます。アラビカマラゴジッペ種総CGA量-○-、総CQA量-■-、総5-FQA(5-カフェオイルキナ酸)量-△-、総diCQA量-▲-、カフェイン量-□-。クリフォードとカズィがこのグラフで使用したy軸の測定単位は珍しい単位です。グラフのy軸には、コーヒー豆100粒あたりの質量がグレイン(1グレインは64.79891ミリグラム)で示されています。(出典:メネゼス(1994)) 1.02 終
CQC_1.02 クエーカー
CQC 1.02 クエーカー コーヒーの実は開花後、約35週間で成長します(キャネル、1985年)。コーヒーチェリーが緑から赤(場合によってはピンク、黄色、オレンジ)に変色したタイミングが、成熟したサインです。色の変化は果皮(皮)からクロロフィルが失われたことにより起こり、豆が成熟するにつれてフラボノイド色素に置き換えられていきます(ロペス他(1984年)、クリフォード&カズィ(1987年))。 クエーカーはピーナッツやグラッシー(草っぽい青臭さ)、または藁のような不快な風味をもたらします。「スペシャルティグレード」を名乗るコーヒー豆でも、販売用の豆袋1袋あたり最低でも1粒はクエーカーが混在しています。多くのグレーディングシステムにおいて、クエーカー5粒が黒豆1粒に値すると定めています。スペシャルティコーヒー協会(SCA)では、スペシャルティグレードのコーヒーはクエーカーが5粒以下でなければならないと規定しています。 BHの教育部門の責任者、ジェム・チャレンダーが市販のコーヒー豆を使用して、通常の豆とクエーカーをブラインドカッピングしている様子の動画です。 生豆に含まれるクエーカーは、精製と選定の工程で減らせそうですが、ブラジルのプランテーションで広く使用されている色選別機では、効果的にクエーカーを取り除けません。その理由は、欠点豆の色の変化がはっきりと確認できるのは焙煎後だからです。そのため、焙煎後に色選別機を使用するのも、クエーカーの量を減らすアプローチ方法の一つです。 未熟豆の化学的性質 健康に育った高品質のコーヒー豆と比較して、未熟豆は水分活性が低く、ショ糖、タンパク質、オイルの含有量などの主たる前駆体が不足しています(A Sフランカ他、2005年)。マッツァフェラ(1999年)の表では、未熟豆、成熟豆、さらに未成熟かつ黒豆に含まれるショ糖の相対量が示されています。 PVは未熟な黒豆を、Vはその他の欠点がない未熟豆を、Bは欠点のない成熟豆を示しています。出典:P.マッツァフェラ、1999年 カフェイン含有量に関しては、科学論文を比較しても一貫性は見えません。1999年にP.マッツァフェラが行なったブラジルのナチュラルプロセスのコーヒーを使用したガスクロマトグラフィーテストでは、異なる種類の欠点豆(黒豆、酸化した豆、未熟豆でテストを実施)でも、カフェイン量がほとんど変わらないという結果が得られました(P.マッツァフェラ、1999)。2005年のA Sフランカらによる研究では、同時に収穫した豆でも、未成熟豆よりも成熟豆の方がカフェイン含有量は大幅に低いという結果が出ました。1987年にクリフォードとカズィが行なった研究では、コーヒーに含まれる苦味のある化学物質、カフェインとトリゴネリンの欠点豆における量は、「わずかな差で重要なものではない」と考察されています。 成熟豆とクエーカーを比較した時に感じる不快な風味の説明として最も有力なものは、大幅なクロロゲン酸(CGA)の量の違いであるように見受けられます。とりわけ、クリフォードとカズィの1987年の研究では、成熟期の最後の5週間に、CGAの2つの部分群であるカフェオイルキナ酸(CQA)とジカフェオイルキナ酸(diCQA)との間に大きな比率の変化が見られました。この二つの部分群は生豆の総CQA含有量の85%を占めています(A Sフランカ、L. オリヴェイラ、2008年)。 メネゼスは1994年に、ブラジル産のアラビカ種の品種であるカトゥアイで実験を行い、収穫時に未熟豆と成熟豆を機械的に振り分けました。その結果、成熟途中の果実のCQAとdiCQAの比率が低いほど、コーヒーの風味が悪くなるという結論に至りました。 開花後数週間観察した様子。コーヒーチェリーのクロロゲン酸、カフェインおよびトリゴネリンは、コーヒーチェリーの成長とともに蓄積されます。アラビカマラゴジッペ種総CGA量-○-、総CQA量-■-、総5-FQA(5-カフェオイルキナ酸)量-△-、総diCQA量-▲-、カフェイン量-□-。クリフォードとカズィがこのグラフで使用したy軸の測定単位は珍しい単位です。グラフのy軸には、コーヒー豆100粒あたりの質量がグレイン(1グレインは64.79891ミリグラム)で示されています。(出典:メネゼス(1994)) 1.02 終
CQC_0.00 プロローグ
CQC 0.00 プロローグ コーヒーの品質管理 このコースは、コーヒーの味を評価し格付けする方法を全てカバーするコースです。バリスタ、ロースター、生豆のバイヤーなど、コーヒーのサプライチェーンにおいてコーヒーの品質を管理している立場にいる方々を対象に作成されています。 このコースでは、欠点豆やフレーバーの汚れを特定する方法について学びます。カッピングの方法だけでなく、最新かつ重要なスコアリングシステムの仕組みに関しても取り上げます。さらにこのコースでは、カッピングプロセスを明らかにし、プロのコーヒーバイヤーやロースターがどのように品質管理をしているのか学ぶことができます。バリスタハッスルの主要なテイスティングコースであるこのコース内では、コーヒー業界としては20年ぶりに作られた、バリスタハッスル独自の全く新しいコーヒーグレーディングシステムの手順も紹介します。 このコースは5つの章で構成されています。第1章では特に焙煎由来の欠点に焦点を当てながら一般的な欠点豆を特定する方法をお伝えしていきます。 第2章は「カッピングのセッティング方法」と題された重要な章で、カッピング初心者の方でも、コーヒー業界で必要なカッピングの知識を学ぶことができます。またカッピングの経験が豊富な方には、どの手順が重要となり、それがカップにどのような影響を及ぼすのか、ガイドラインを提供します。第3章ではカッピングのセッティング方法に続き、味の取り方を学びます。嗅覚、味覚、そして触覚がどのように相互作用するのか、またテイスティングの際に啜って飲むようなテイスティング方法が、なぜフレーバーを感じやすくするのか生理学的に見ていきます。 第4章ではスコアリングの方法と、フレーバーと味わいがどのように細分化されるか学びます。このコースの最後には、1999年に導入されたSCAアラビカカッピングフォームやカップオブエクセレンス(COE)など、最新のスコアリングシステムの詳細な分析をします。そして第5章の最終レッスン「バリスタハッスル・カッピングプロトコル」にて、バリスタハッスルオリジナルのコーヒーグレーディング方法を、自信を持ってご紹介します。この最新の100点満点制のスコアリングシステムはこのコースで初めてお披露目となり、コーヒーバイヤー、ロースター、生産者、そしてバリスタに最大限役立つ情報を提供できるはずです。 0.00 終
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CQC 0.00 プロローグ コーヒーの品質管理 このコースは、コーヒーの味を評価し格付けする方法を全てカバーするコースです。バリスタ、ロースター、生豆のバイヤーなど、コーヒーのサプライチェーンにおいてコーヒーの品質を管理している立場にいる方々を対象に作成されています。 このコースでは、欠点豆やフレーバーの汚れを特定する方法について学びます。カッピングの方法だけでなく、最新かつ重要なスコアリングシステムの仕組みに関しても取り上げます。さらにこのコースでは、カッピングプロセスを明らかにし、プロのコーヒーバイヤーやロースターがどのように品質管理をしているのか学ぶことができます。バリスタハッスルの主要なテイスティングコースであるこのコース内では、コーヒー業界としては20年ぶりに作られた、バリスタハッスル独自の全く新しいコーヒーグレーディングシステムの手順も紹介します。 このコースは5つの章で構成されています。第1章では特に焙煎由来の欠点に焦点を当てながら一般的な欠点豆を特定する方法をお伝えしていきます。 第2章は「カッピングのセッティング方法」と題された重要な章で、カッピング初心者の方でも、コーヒー業界で必要なカッピングの知識を学ぶことができます。またカッピングの経験が豊富な方には、どの手順が重要となり、それがカップにどのような影響を及ぼすのか、ガイドラインを提供します。第3章ではカッピングのセッティング方法に続き、味の取り方を学びます。嗅覚、味覚、そして触覚がどのように相互作用するのか、またテイスティングの際に啜って飲むようなテイスティング方法が、なぜフレーバーを感じやすくするのか生理学的に見ていきます。 第4章ではスコアリングの方法と、フレーバーと味わいがどのように細分化されるか学びます。このコースの最後には、1999年に導入されたSCAアラビカカッピングフォームやカップオブエクセレンス(COE)など、最新のスコアリングシステムの詳細な分析をします。そして第5章の最終レッスン「バリスタハッスル・カッピングプロトコル」にて、バリスタハッスルオリジナルのコーヒーグレーディング方法を、自信を持ってご紹介します。この最新の100点満点制のスコアリングシステムはこのコースで初めてお披露目となり、コーヒーバイヤー、ロースター、生産者、そしてバリスタに最大限役立つ情報を提供できるはずです。 0.00 終